売れっ子芸能人が相次ぎ引退している理由 「有名税」が高くなりすぎている

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その結果、芸能人は身近な存在になり、あこがれの対象ではなくなっていきました。芸能人が1種のファンサービスとして自ら情報を提供して内面をさらしているのに、そのことが彼らの神秘性を剥ぎ取り、価値を下げていくこともあるというのは皮肉な話です。

「有名税」の支払いを逃れる唯一の方法は…

今の時代、芸能人であることのデメリットはどんどん大きくなり、メリットはどんどん小さくなっています。いわば「有名税」の税率が高すぎるのです。芸能人であることがビジネスとして割に合わなくなってきている。だからこそ、一流とされる立場の芸能人であっても、少しでもきっかけとなるようなことがあれば、引退を考えるようになってきているのでしょう。

芸能人が「有名税」の支払いを逃れる唯一の方法が「引退」です。芸能界というステージから降りれば、人々の関心も薄れていきます。堀北さんのように家庭を大事にする人にとっては、それが子どもや家族を守ることにもつながります。引退は決して後ろ向きなものではありません。「有名税」の支払いから解放されて、自分の家庭や生活を守るための前向きな決断でもあるのです。

私の知るかぎり、芸能界は「異常なまでの自己顕示欲を持った目立ちたがり屋の集まり」です。彼らは何としてでも有名になりたいという強い衝動を持ち、それを原動力にして活動を続けています。だからこそ、彼らの大半は1度売れたらどんなに苦労を重ねても、どんなに嫌なことがあっても、芸能界から離れようとはしないのです。

そういう意味では、あっさり芸能界から去っていく人は、もともとそういう衝動が薄いタイプなのかもしれません。彼らにとっては、芸能の仕事も1つのビジネスであり、割に合うか合わないかということが重要になってくるのです。芸能界が今後も栄えていくためには、有名税のさらなる高騰を防ぎ、芸能人の立場を守るような何らかの対処が必要なのかもしれません。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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