アマゾンのリアル侵食に小売りが対抗する手

オムニチャネルで武装する局面に来ている

開業前のグローサリーピックアップ。左が商品の受け取り場所

ネット小売業と、実店舗の壁が消える?

ここを見たかった理由は1つ。アマゾンにとって、インターネット小売業と実店舗を持つ小売業の壁が完全に消える象徴になることです。

ネット通販と実店舗の違いは商品を保管するストックポイントの位置にあります。現状のネット通販のストックポイントは物流センターであり、注文を受けると社員が商品を取って顧客に届けます。リアルの小売業はストックポイントが店舗で、顧客自身が商品を取ります。つまりストックポイントに誰が取りに行くのかという違いしかありません。そう考えると、よくある、小売り全体に占めるネット通販の割合を語ることは無意味です。

これまでは百貨店や総合スーパーなど実店舗で営業する小売業がネットの領域に参入し、社員がピックするストックポイントを広げてきました。アマゾンがやろうとしているのはその逆で、ネット小売業者がストックポイントとして実店舗を持つということです。その大きな一歩がグローサリーピックアップなのです。

日本のリアルな小売りチェーンはこれにどう対応したらいいでしょうか。日本ではスマートフォンの普及が進んだのとほぼ同じ時期に、オムニチャネルという言葉が広まったため、スマートフォンによるEC(電子商取引)というイメージが強くあるかもしれませんが、実は違います。オムニチャネルの考え方において、ECはその一部です。

「ネット通販の台頭により売り上げを奪われた小売業が、リアル店舗を持っていることこそが強みだということを再認識し、ネットを取り入れることにより、弱点を強みに進化させたもの」がオムニチャネルであるといえます。リアル店舗のビジネスの中にECを取り込み、売り上げを上げるという店舗ありきの考え方なのです。

ECの登場によって、多くのリアル店舗が利用客を奪われたのは事実です。店舗運営側としては、経費のかかるリアル店舗を持たずに済むから、運営コストを引き下げることができ、その分、販売価格を下げても利益を稼ぐことができますし、インターネット上では店舗スペースを気にせず商品を陳列でき、リアル店舗のどこよりも豊富な品ぞろえを展開できるといったことが可能になります。

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