医師会「スマホ注意ポスター」は問題だらけだ スマホを使うと頭が悪くなる?

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最初、このポスターを見たときには、あまりにもツッコミどころが満載なので思わず笑ってしまいました。

でも、お医者さんって、「根拠」「証拠」とか「因果関係」とか「検証データ」とか、そういうものを大事にする世界の方々のはずです。この手のモノを見るたびに、思い出す例え話があるんです。

犯罪者の90%はラーメンを好んで食べている!

(写真:工藤陽介・イラスト:グリー/大室絵理)
・犯罪者の90%はラーメンを好んで食べている
・犯罪者の70%が犯行1週間以内にラーメンを食べていた
・ラーメンを食べたことがない犯罪者は1%以下である
​→よってラーメンは規制されるべきである

 

これは間違いです。規制しちゃダメなんです。いわゆる「疑似相関」と呼ばれるもので、2つの事象に因果関係がないのに、別の要因によって、あたかも因果関係があるように誤解してしまうというものです。このポスターには、この「ラーメン規制」と同じ構図が垣間見えるのです。たとえば、

◆スマホを使うほど、学力が下がる

というキャッチコピー。文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査で、スマホの利用時間が長い子どもは平均正答率が低かった、という結果を根拠にしているようなのですが、成績が悪い原因は、好き放題スマホを触らせている家庭の環境のはずです。その子からスマホを取り上げるだけで成績が上がるとは思えません。講演の際に学校の先生方にも聞いてみたのですが、みなさんそろって、「上がらないよねえ(ため息)」という反応でした。

ネット上の意見を見ても、このポスターに筆者のような「違和感」を持っている方は大勢いらっしゃったのですが、「当然だ!」といった意見も少なからず見られました。でも、「違和感」があったのは「学力が下がる」だけじゃなかったんです。

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