非上場企業の私物化をやめれば日本は変わる 牛島弁護士「過酷な立場の株主を救済せよ」

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こうした状況を打破するためにはどうすればよいか。牛島弁護士は「非上場会社の少数株主が、支配株主でもある経営者からアンフェアな扱いを受けたときには、会社に対する直接の株式買取請求権を認める立法がなされるべき」と指摘する。

株主総会の有効性をめぐる訴訟や、損害賠償を求める株主代表訴訟などの会社関係訴訟は、少数株主が支配株主との株式買取交渉を有利に進めるための手段として利用されていることも少なくない。非公開会社のあり方は千差万別で一概には括れないが、少数株主の合理的な期待が著しくないがしろにされた場合に直接の株の買取請求権を認めることは、迂遠な方法を回避し、抜本的な解決策になる可能性は十分あるだろう。また、牛島弁護士は「この問題は、株式会社制度がどのように運用されるべきか、という問題と表裏一体だ」と話す。

非上場会社なら何をやってもいい、は間違い

「株式会社という人工的な法人が存在するのは何のためにあるかといえば、本質的には雇用を創り出すことで世の中のためになるから。個人の利益を追求するためだけにあるのではない。こうした考え方は、上場会社に限られるというわけではなく、非上場会社にも当てはまる部分があるはず」(同)

さらに、こうした考え方を推し進めれば、めぐりめぐって経済にもポジティブな影響を与えることにつながるという。

「都心の一等地にも、ポツンと低層の建物が残っていて、開発が止まってしまっていることがある。こういったケースは、不動産を所有する同族会社の支配株主が、現状維持をよしとすることで話が進まず、凍結していることも多い。少数株主の権利を切り口に、同族会社の資産を解凍して流動化させれば、日本経済の発展につながるのではないか」(同)

非上場企業のあり方は、具体的な事情や価値観によって何が適切かは異なるが、これまで会社としての公共性は明確に意識されていなかった。少数株主の不利な立場を改善する切り口から、ガバナンスの問題について再考することは、重要といえるだろう。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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