会社員にも無関係じゃない「確定申告」の恩恵 ふるさと納税と大衆薬でトクするには?
一方、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできない。市販薬購入費が1万2000円を超えた分と、医療費が10万円を超えた分を比べ、大きいほうを活用するとよい。いずれにしても、「医療機関を受診したり薬を購入したりしたときの領収書は、すべて保管しておき、確定申告をするときにどちらが得になるか計算するのがよい」(落合税理士)。
ふるさと納税は何がトクなのか
2008年から始まり関連本も複数出版されるなど注目を集めているのが、「ふるさと納税」だ。総務省によれば、2015年度のふるさと納税の寄付額は1652億円にも上った。制度が始まった2008年度の81億円から20倍以上になっている。
ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付をすると、2000円を超える寄付額が、所得税や住民税から控除される制度。多くの自治体が、肉や果物といった地元の名産品を寄付の返礼品として用意しているのも魅力の1つだ。
所得税や住民税から全額控除される年間上限金は、年収や家族構成などによって異なる。たとえば年収300万円の独身者の場合、2万8000円以下の寄付であれば、自己負担額の2000円を除いた全額が控除される。この額を超えて寄付することもできるが、控除のメリットは小さくなる。
年収や家族構成に対する控除上限金額の目安は総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で確認ができる。また、試算はふるさと納税総合サイトの「ふるさとチョイス」や「さとふる」などでもできる。住宅ローン控除などを受けている人の上限額は変わってくるので、正確な計算については市区町村や税理士に相談するのがよいだろう。
お得な制度ということはわかるが、それでも「確定申告が面倒だからやりたくない」という給与所得者に朗報がある。5つの自治体までの寄付であれば、確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」が使える。申し込みの際に各ふるさと納税先の自治体に申請書を提出するだけだ。ただし、医療費控除などで確定申告をしている人は使えない。
納税者にとってメリットの大きいふるさと納税だが、その返礼品は、見直される可能性が高まっている。地方自治体があまりに豪華な返礼品を用意し、寄付金集めが行き過ぎているからだ。2015年度の返礼品の調達や送付などにかかる費用は、すべての自治体合計で792億円に達した。寄付額のおよそ半分が返礼品に使われている計算だ。
高市早苗総務相も2月14日の会見で、「地方団体間の競争が過熱し、一部の地方団体で制度の趣旨に沿わない返礼品が送付されていることは問題だ」と指摘している。本来、ふるさと納税は地域活性化や応援が目的。商品券など、制度の趣旨に合わない返礼品は今後、廃止などの見直しが進みそうだ。
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