森友学園問題は「アッキード事件」ではない 政治家の関与を冷静に分析する必要がある
手振りを交えて腹立たしげに森友学園を批判した鴻池氏だが、そもそも会見を開いたのは、問題の背景を積極的に明らかにしたかったからではないだろう。その日の参院予算委員会で共産党の小池氏が、「ある国会議員の事務所の面談記録を入手した」と鴻池氏の事務所の陳情報告書の内容を暴露したためだ。
この時、小池氏は鴻池氏の名前を秘したが、明らかにされるのは時間の問題だった。その前に自分から名乗った方が得策だ。鴻池氏は政治家の本能として、そう察知したに違いない。
さてこの陳情報告書には、森友学園の籠池泰典理事長がしつこく陳情を繰り返し、秘書があきれ返っていた様子が見てとれる。
「ウチは不動産屋ではありませんが!」
籠池氏に関する記録は2013年8月5日に始まるが、さっそく8月27日に「(※当事者が詳細を詰めてやって下さい)コンサル業ではありませんので」と記載されている。大阪府の小学校設置基準によれば、借地の場合は20年以上の賃借権が必要だが、籠池氏の希望は8年間の借地契約。常軌を外れるその交渉を鴻池事務所に頼んだためだ。
また政治力でもって用地賃貸契約をおし進め、土地価格を安くしてもらいたいという籠池氏の依頼に対しては、「ウチは不動産屋ではありませんが!」「※不動産屋と違いますので。当事者同士で交渉を!」などとコメントを付けている。
また「※どこが教育者やねん!」や「※大阪府の担当者は、土地以外の(生徒募集)を一番懸念されているようですが」といった皮肉も散見された。
さらに興味深いのは、2016年3月の箇所だ。そもそもこの問題で最も注目されているもののひとつは、それまで資金不足のために即時購入ではなくまずは賃貸を希望していた森友学園が、いきなり2016年3月24日に購入を申し出た点だ。
3月11日に杭打ち工事を行う過程で新たな地下埋蔵物が発見されたことが近畿財務局に連絡され、同局と大阪航空局が14日に現地確認に出向いたが、それからわずか10日後に、なぜ森友学園の意向が変わったのか。その間に森友学園の財務に大きな改善があったわけではない。
その謎解きに繋がるヒントが鴻池事務所の「陳情報告書」にあったのだ。
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