不倫夫と別れた専業主婦が直面する「貧困」 子どもは小さい、手に職はない

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15年間、専業主婦を続けた。毎月おカネを預かって家事と育児、家族の日常を支えた。家族でいちばん早く起きて、朝食の準備をする。給食のない上の子のお弁当を作って会社と学校、幼稚園に送り出す。掃除、洗濯をして幼稚園に迎えに行き、夕飯の支度と後片付け、それに寝るまでの子どもの面倒をみていれば1日が終わってしまう。離婚するまで、そんな日々が続いた。

「専門学校を卒業して、すぐに結婚しているんです。旦那が見えっ張りな性格で、専業主婦でいてほしいという人。だから働いた経験はほとんどない。突然、離婚を突き付けられて、働けって言われても本当に難しい。下の子は小学校低学年だし、手に職もないし。本当に私、これからどうすればいいのでしょうか。それに子どもがいるから、働けるのはせいぜい9~14時くらい。そんなんじゃ、パートも雇ってもらえなかった」

2年前に離婚したとき、それまでの余った生活費の貯金と旦那から一括でもらった養育費600万円が通帳にあった。2年間の生活費でその半分近くが減った。毎月減っていく残高を眺めながら、不安ばかりが膨らむ。このペースだと、あと2年でゼロになる。

「最近、怖くてパニックになる。旦那に専業主婦を強制されて、子どもの育児や家事をさせられて、揚げ句に向こうだけの都合で離婚されて30歳台後半で放り出された。それで先月40歳です。働きたくても仕事はないし、専業主婦だったから、何の仕事もできない。離婚してから自分は社会の誰にも必要とされてないし、死んだほうがいい邪魔な存在なのかなとか、よくそう思う」

減る預金通帳を眺めながら、日々焦る。家も車も維持できるのだろうか。家を売ればあと5年くらいは生きることができるだろうかとか。つねに気分は落ち込んでいる。

「2年前に離婚してから、ずっとそんな感じ。上の子は月に何度かは暴れて壁に穴が開くので、家もいつか壊れちゃう。子どもの部屋はゴミ屋敷みたいな感じで、昼夜逆転していて風呂も歯磨きもたまにしかしない。友達も1人もいなくて、学校もお手上げな感じで高校受験は無理。そんな子ども2人抱えて再婚なんて夢みたいな話だし、働くこともできないし、もうどうしていいのか……」

20代前半の女性と浮気、隠し子も…

ヨーロピアンな自宅は一歩踏み入れれば、不穏な雰囲気が広がる。富裕層の平穏な家庭が暗転したのは、離婚が原因だ。どうして、夫婦と家庭は破綻したのか。

「元旦那は6年くらい前から、20代前半のスナックの女と浮気していた。浮気どころか子どもも作って、家庭が2つある。今は不祥事を起こして会社もクビになって、義父も元旦那がどこにいるかわからないって。本当なのかわからないですけどね」

同じ市内にあるスナックを会社は接待でよく使っていた。元旦那はそこで働く20代前半の女性と恋愛し、やがて頻繁に外泊をするようになった。最初は「出張」という言葉を信じていたが、だんだんと疑うようになった。

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