結局「生きる力」は知識だけじゃ身につかない CCC増田社長、孫泰蔵氏が語る教育論

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子どもとともに写真に収まる孫泰蔵氏(中央)。東京大学在学中の1996年にヤフージャパンの立ち上げに参画。1998年ガンホー・オンライン・エンターテイメントの前身であるオンセールの代表取締役。2013年にミスルトウ設立、起業家支援を手がける。ソフトバンクの孫正義社長は実兄。(記者撮影)

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、増田宗昭社長)とスタートアップ企業支援のミスルトウ(孫泰蔵社長)が合弁で、教育事業に乗り出す。学習塾のような知識偏重型ではなく、STEMと呼ばれる理数・サイエンス分野や文化・芸術などの教室を通して、子どもの「未来を切り拓く力」を育てる狙いという。皮切りに、CCCが3月2日に開業する商業施設「柏の葉T-SITE」に第1号教室を開設する。

増田氏は国内最大の書店・DVDレンタルのフランチャイズチェーン「TSUTAYA」を一から作り上げた。また孫氏も、ガンホー・オンライン・エンターテインメントでゲーム『パズル&ドラゴン』を大ヒットさせたことで知られる。両氏とも時代や市場を開拓してきた経営者であり、その2人が手がける教育事業となれば注目度は高い。

だがそもそも、自分の力で未来を切り拓く人間になるためには、どのような経験が必要なのだろうか? 24日に両者が開いた会見で、2人はそれぞれの経験をもとに、能動的に未来を切り拓く力の伸ばし方を語った。その抄録を紹介したい。

「自分は変えられる」という確信

孫氏:私は九州で四人兄弟の末っ子として育ったが、父には小さい頃から繰り返し「人に習うな」と言われて育った。たとえば「今日は学校でこんなことを習ったよ」と言うと、「そりゃあよかったな! ばってん、先生は嘘を教えることもあるよ」と答える。

今振り返ると、父が言いたかったのは、自分で考え、工夫しろということだと思う。でもそのまま言っても、子どもの記憶には残らない。だからちょっと極端な言い方で、暗にほのめかしてくれていたのだなと思う。実際、ベンチャー経営者として20年にわたり、数々の修羅場をくぐってきた結果、自分の工夫次第で未来はいかようにも切り拓けると実感している。

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