「MINI」はなぜゴルフより大きくなったのか 今秋には初のPHVを投入し首位固め

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それを支えたのが新車投入ラッシュだ。まず2014年にMINI特有の旗艦車種 「MINI3ドア」の新型車を発売したのに続き、同年には3ドアのホイールベースを70ミリ長くした5人乗りの5ドアハッチバックモデル「MINI5ドア」を追加投入。3ドアよりも後部座席への乗り降りが楽になった。日本市場のニーズを見据えての導入だったとされ、実際、日本では5ドアが1番の売れ筋となっている。さらに2016年には4人乗りオープンカー「MINIコンバーチブル」も発売した。

また、2015年には一回り大きい、新型「MINIクラブマン」を投入。先代は3ドアモデルをベースにしていたが、新型車はオリジナルボディを採用し、4ドアスタイルへと変貌。全長が先代から290ミリ長い4270ミリになるなど、ゴルフとほぼ同じサイズに拡大した。「スモールセグメントからコンパクトセグメントに入ったことでMINIは大きく台数を伸ばした」(ロカ本部長)。そして、今回MINI最大となるクロスオーバーを発売することで、一通りのラインナップが出そろう。

大きくなったらMINIではない?

もちろん、「MINIが大きくなったらMINIではない」という意見もある。ただ、MINIは文字どおりのMINIではなくプレミアムブランドとして定着し始めており、デザインや走行性能など「MINIらしさ」は変えないという。

丸形モチーフを採用し、MINIらしさを演出する(記者撮影)

今回発売したクロスオーバーをみると、フロントは丸形のフォグライトや六角形のラジエータグリルなど一目でMINIとわかる外観デザインにしている。インテリアも従来どおりの丸形モチーフを多数採用。メーターやセンターディスプレイ、ドアハンドルなどあらゆるところでみられる。

エンジンで新たな挑戦も始まる。現在日本で販売しているクロスオーバーの86%はクリーンディーゼル搭載車となっており、新型車はクリーンディーゼル搭載モデルのみとした。だが、今秋にはMINI初となる、電気自動車(EV)として走行できるプラグインハイブリッド(PHV)モデルを投入する予定だ。

クリーンディーゼルエンジン搭載で燃料消費率は1リットルあたり21.3キロメートル(記者撮影)

大容量バッテリーと高出力電気モーターにより、最高時速125キロメートル、最長距離約40キロメートルまでEV走行が可能だ。価格は479万円で、ディーゼル搭載の最上級モデルを下回る設定にした。ロカ本部長は「PHVでもMINIがリーダーシップを取る」と断言する。

変わり始めたMINI。プレミアムスモールセグメントでは独壇場だったが、新たにコンパクトセグメントに入ったことで、競合が一気に増えるのは間違いない。“大きいMINI”でどこまで攻めることができるか。新たな挑戦が始まる。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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