日本人が知らない米国「保守派」の本当の顔

偏った報道では浮かび上がらない普通の人々

矢継ぎ早に出された大統領令への混乱などから、トランプ大統領への憎悪が増し続けている現状では、「トランプのせいで国が分断する」などと言い出す人がいるが、分断が進んだのは何もトランプ大統領1人のせいではない。たとえ、彼に問題があったとしても、論点や争点がまったく異なる問題がすべて「大統領のせい」にされてしまいがちな傾向や、それをあおり続けてしまう偏向報道のほうが、この国の分断を助長させる原因になりかねない。

たとえば、米国の報道はもちろん、日本の報道の多くは、トランプ支持者や保守の実像を紹介するために、わざわざ北部の工業地帯、通称「Rust Belt=ラストベルト(さびついた工業地帯の意)」や、南部から中西部に集中するキリスト教保守派の多くが暮らす、通称「バイブル(聖書)ベルト」を取材する様子が多く見られたが、シアトル近郊という典型的なリベラルな都市部に暮らしている私から言わせると、「そんな遠くに取材にいかなくても、保守派ならすぐ横の郡にいるのに」と思ったものだ。

リベラルの代名詞ともいえるニューヨーク州でさえ、全62郡のうち、46郡は共和党支持であった。「保守は田舎の州にいる」というものの見方には、上から目線の偏った傾向が見え隠れする。なかには「白人至上主義」「銃を持った危ない人たち」など、保守派の極端な部分を一般化して「保守層」を一括りにする危ういとらえ方すらある。そのような視点で米国を見たのでは、決してこの国の実像を正しく知ることなどできないだろう。米国の半分を占める保守派は、とても歪んだ誤解を受けているのではないだろうか。

軽やかに、悪気なく「差別発言」

もちろん、過激な保守派の考えに面を食らうこともある。冒頭に紹介した義母は、その典型的な例になるだろう。日曜日にはせっせと教会に通い、フィギュアスケートでアジア人選手が活躍する様子をテレビで観戦しながら、「フィギュアスケートはもともと白人のスポーツなのに」と、アジア人の私にあっけらかんと話してしまう、義理の母。

時折放たれる「差別発言」ともいえる言動には悪気がまったくないうえに、無意識なので私自身は何か言われて怒るよりも、失笑(ときに爆笑)するだけだが、周囲はかなりヒヤヒヤしているらしい。彼女の言動にはときに息子である主人も頭を抱えてしまうようだが、実際のところ私と義母の仲は、まったく悪くない。

もっとも彼女の場合は、保守派の中でもかなり特殊な例だとは思う。それは、彼女がサンフランシスコを含むベイエリアと呼ばれる地域で、25年以上勤めあげた肝いりの「女刑事」であるためだ。スペイン語とドイツ語を話すことから、主に移民犯罪に対処していたため、彼女にとっては「銃がない生活などありえない」。こうしたバックグラウンドからか、彼女が米国に移民してきた私に、お祝いとしてくれたのが銃だった。

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