キリンのビールが売れなくなった本当の理由 海外強化の陰で「犠牲」になった国内シェア

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2007年以降、キリンHDが海外でのM&Aに投じた資金は1兆円を超える。2代前の加藤壹康元社長は豪州事業拡大のため5000億円超を出資。2011年に三宅占二前社長は約3040億円でブラジルのビール大手を買収した。いずれも、人口減少で縮小する国内ビール市場を憂えての一手だった。

犠牲になった国内ビール事業

海外への投資を急速に増やす一方で“犠牲”になったのが、売上高の3割、営業利益の5割を占める国内ビール事業だった。資金を海外に振り向けた分、キリンビールは2007年以降、広告・販促投資を800億円前後に抑制した。

そのため、1000億円前後の投資を続けた競合のアサヒに、国内ビール類のシェアを一気に奪われていった。キリンフリーも、広告・販促投資抑制のあおりを食った製品の一つだった。

代償を払ってまで進出した海外でも、目算が外れた。豪州など海外では現地経営陣を信頼し不干渉を貫いてきたが、ブラジルではそれが裏目に出たのだ。急速な現地通貨安による輸入原料コストの高騰もあったが、価格戦略の失敗などで販売数量が大幅に減少した。

キリンHDは2015年12月期には1100億円の減損損失を計上し、この2月13日には全株式を蘭ハイネケングループに売却し、撤退すると公表した。

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