歌手志望だった正男氏殺害ベトナム人の素顔 フオン容疑者は娯楽施設で働いていた
マレーシア警察の発表によると、フオン容疑者とインドネシア国籍の女は13日、クアラルンプールの空港で金正男氏の顔に毒物とみられる液体を塗りつけた。
その後まもなくして正男氏は死亡した。
警察はフオン容疑者について「娯楽施設の従業員」だとしているが、勤め先や同容疑者の在留資格に関する詳細は明らかにしていない。
オーディション番組
家族がフオン容疑者の写真が掲載されていると語る別のフェイスブックアカウントにあるリンク先には、ベトナムのオーディション番組のページが含まれていた。「ぽっちゃりベラ」というアカウント名のページには昨年11月以降、何も投稿されていない。
2016年6月3日、フオン容疑者によく似た女性がオーディション番組で歌っている。
顔認識ツールで、この女性とマレーシア警察が公開したフオン容疑者の写真は一致した。
女性は番組のなかで出身地をナムディン省としている。マレーシア警察が明らかにしたフオン容疑者のパスポートに掲載されているものと同じだが、女性はディン・チ・クエンと名乗っている。
この女性は1回戦で敗退した。
同番組のキャスティングチームの1人はコメントを差し控えた。広報担当へもコメントを要請したが、返事はなかった。
「今夜、歌いましょうか」と、フオン容疑者は昨年3月24日に投稿している。「すぐに返事をください。コメント欄に電話番号を書いてくれれば、電話してあなたのために歌います」
フオン容疑者の家族の多くは、ナムディン省の自宅周辺の水田で働いている。同容疑者はたまにしか帰省せず、どこにいたのか具体的には語らなかったという。
ベトナム戦争で北ベトナムのために戦い、片足の一部を失ったという父親のドアン・バン・タンさん(63)は、娘が逮捕されてからベトナム当局が接触してきたと語る。「ベトナム人なのでフオンをサポートするとしか告げなかった。彼女が本当に容疑者なのか、私には言わなかった」とロイターに語った。
「私は彼女の父親だが、彼女が家を出ているときに起きたことまでコントロールできない。私には知り得ない」と、地元の市場で警備員として働くタンさんは言う。