「中国人、韓国人」と日本人が働きにくいワケ 合意重視で計画性のある国民性と合わない

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――では、日本人が、同じアジア人である中国人や韓国人とビジネスをする場合には、何に気をつけたらいいでしょうか。

8つの指標に基づいて作られた、日米のカルチャーマップ(英治出版提供)

カルチャーマップで見ると、特に3つの指標において韓国と中国は、日本と異なります。たとえば、日本は意思決定において世界で最も合意を重視しますが、韓国と中国はトップダウンで行われる傾向が強い。つまり、日本では意思決定に時間がかかる代わりに、決定が覆ることはほぼない。一方、中国と韓国、特に中国では意思決定に時間はかかりませんが、決定が頻繁に変わります。

なので、中国と取引する場合、日本人は決定するプロセスに自分が加わっていないことを不満に感じ、彼らがプロフェッショナルではないと感じると思いますが、そうではなくて、中国人は誰よりも先に商品などを市場に投入することを考えているので、スピードや柔軟性を重視しているわけです。市場が発展途上で変わりやすいため、なるべく早く、柔軟でなければならないのです。

飲み会やカラオケは中国、韓国でより重要

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2つ目の違いはスケジューリングです。日本人は時間に正確で、日本ではすべてが計画どおりに行われますが、中国人や韓国人は時間に対してより柔軟です。もうひとつ、信頼という指標でも日本と、ほかの2カ国は異なります。日本の場合は、きっちりした仕事や商品、時間を守るといったことが信頼の基準となりますが、ほかの2カ国は「感情的なつながり」が信頼の証しだと考える傾向にあります。

アジアの国々はだいたい、感情的な関係性を重視する傾向にありますが、日本は比較的その傾向が低い。一緒に飲みに行ったり、カラオケに行ったり、食事をしたりするのは、日本以上に韓国や中国ではビジネスで成功するうえで大事なことなのです。

――地理的には近いのに、結構な違いがあるのですね。

実はそこが重要なのです。過去に外交官について調査したことがあって、驚いたことがあります。他国に駐在したにもかかわらず、文化や生活になじめず任期を終えずに途中で帰国するパターンで最も多いのは、英国に渡った米国人です。

米国人であれば、少なくとも言葉が通じる英国より、文化が著しく違う日本に駐在するほうがよっぽど大変だと思うかもしれません。しかし、文化的に近いと感じると、その国の文化を学ぼうとしないため、気持ち的にも行動的にもオープンさや柔軟性を欠くことになります。結果、違いが生じたときにストレスを感じたり、落ち込んだりするわけです。

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