意外?東京より名古屋が「交通利便度」は上だ ビッグデータで見えた新幹線の威力

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2時間以内の到達可能面積を色分けした地図。到達可能面積が広いことを示す赤系の色が連なる中、山梨県は例外だ(画像:Yahoo! JAPANビッグデータレポート)

一方、今回のデータで浮かび上がった「特異点」ともいえる県がある。山梨県だ。

東京都に隣接し、首都圏の一部でもある山梨県だが、今回のデータ分析によるランキングでは「1時間以内」で39位、「2時間以内」で34位と、全国的に見ても下位に入った。レポートではこの理由について詳細な分析はしていないが、一つ明らかなのは「新幹線へのアクセス利便性が高くない」ことだ。

Yahoo! の路線案内で検索してみると、山梨県内から東海道新幹線を利用する際、時間的にもっとも近いのは新横浜駅。だが、同駅までは甲府からほぼ2時間かかってしまう。

しかし、この状況はこれから大きく変わる可能性がある。リニア中央新幹線の開業だ。Yahoo! のシミュレーションによると、リニア開業後の甲府-品川間の所要時間はわずか16分。名古屋にも30分以内で到達できる。こうなると、ランキングは大幅に変わってくる可能性が高い。Yahoo! の担当者は「東京-名古屋-関西-九州といった横のライン(の所要時間)がかなり縮まることが考えられる」と話す。

飛行機の影響はどうなのか?

一方、新幹線と並ぶ高速交通機関である飛行機はというと、到達時間が1~3時間以内の場合、はっきりとした効果は見えてこないようだ。

飛行機でないとほかの都道府県への移動が難しい沖縄県を例にとると、到達時間1時間~4時間のランキングでは47位と最下位だ。だが、12時間以内に到達できるエリア面積だと26位まで上昇。レポートでは「那覇空港は大都市との航路で結ばれているため、後半は他県に負けないほどエリア面積を増やしていくことがわかる」と分析している。

また、今回のように「到達できるエリアの面積」という指標の場合は、ピンポイントで都市間を結ぶ飛行機よりも、線で結ぶ新幹線のほうが有利になる面もあるだろう。

高速交通機関にアクセスしやすい地域かどうかで、同じ時間内に到達できる範囲の違いが浮き彫りとなっている今回のレポート。現状の分析はもちろん、このようなビッグデータの分析によって、どんなルートに新たな交通機関を通せばより高い利便性が得られるかといったことも可視化できるだろう。今後の交通計画などを考える上でも、さらなる進化が期待される研究だ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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