退任前の大きな賭けに出た?バーナンキ議長 今後もあえて市場を動揺させ、バブルの芽を摘みとる?
真実は闇の中だが、そうした見立てが正しいならFOMCの金融政策には出口がありそうだ。フィッシャー・ダラス連銀総裁が『ホテル・カリフォルニア』的金融政策と呼ぶリスクに対し、バーナンキ議長は手を打ったのである。
ウォールストリートジャーナル(2012年12月14日)によれば、ダラス総裁はCNBCのインタビューに次のように語っていたという――「われわれは、わたしが『ホテル・カリフォルニア』的金融政策と呼ぶリスクに瀕している」とフィッシャー総裁は指摘。米ロックグループのイーグルスの同曲では「チェックアウトはいつでも好きなときにできるが、ここから立ち去ることはできない、と歌われている。つまり、この措置はいつでも終了できるが(バランスシートの肥大化ゆえに)終了できないことを恐れている」――。
FOMCはスピリットを失っていない
イーグルスの名曲『ホテル・カリフォルニア』の中で最も有名なフレーズは「1969年以来、スピリットは置いていない」というフレーズであろう。作者が「社会政治的メッセージである」と語るように、60年代に大切なものを失ってしまったことを、同曲が発表された70年代後半に振り返っているフレーズだ。
FOMCにとって大切なものを考えてみると、それは最大限の雇用と物価安定という使命や、近年重視されるようになった金融の安定性という責務を果たすために、最大限の努力を払おうとする勇気と言える。バーナンキ議長の「最後の賭け」は、FOMCがそうした勇気を失っていないことを示している。
西洋には、「白鳥は命が尽きる前に最も美しい歌声をあげる」という古くからの伝説(スワン・ソング)がある。積極的なコミュニケーション政策を採ってきた議長を、静かな白鳥にたとえていいのかどうか悩ましいが、任期切れが近づいているバーナンキ議長は、我々の想像を超える美しいスワン・ソングを歌おうとしているのかも知れない。
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