退任前の大きな賭けに出た?バーナンキ議長 今後もあえて市場を動揺させ、バブルの芽を摘みとる?

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現在のFOMCの声明文では「強い緩和姿勢」について、QE3(1カ月当たり850億ドルの証券購入プログラム)を停止し、景気回復が勢いを増した後も「かなりの間にわたって」(for a considerable time)続けるとされている。バーナンキ議長は、これよりも強い印象を与える言い回しで緩和継続を強調したわけだ。

そもそも6月のFOMCでも、適切な金融緩和の実施に焦点を当てるべく、出口戦略に関する追加的な議論は繰り延べすることが決まっていた。5・6月の発言と7月の発言の印象の差は、バーナンキ議長がコミュニケーション政策に失敗し、その火消しに走ったことを強く示唆している。

金融市場の動揺を抑えようという努力は、バーナンキ議長のみならず、ダドレー・ニューヨーク連銀総裁なども行っている。しかしこうした努力は、かえって金融政策の不透明さを高め、金融市場を不安定にしかねないというジレンマを生む。

プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁は、「金融政策の判断について柔軟性を強調したり、経済指標次第という曖昧さを残したりすると、いくらフォワードガイダンスを提供していても、将来の金融政策に対する姿勢を明確化することにはつながらない」と批判している。

当局が「経済指標次第」と言えば、金融市場参加者はISM指数や雇用統計、小売統計、物価統計など、日々発表される重要指標に一喜一憂することになり、金融市場のボラティリティは増大してしまいかねないのである。

日々の指標に、市場が一喜一憂しない方策とは?

ジレンマを防ぐ解決策にはあるのか。ここではプロッサー総裁とスタインFRB理事の提案を簡単に紹介しておきたい。

プロッサー総裁は、金利政策のフォワードガイダンスに用いられている経済指標を「閾値」(threshold)ではなく「トリガー」(trigger)とすべきという。「閾値」は政策変更についての検討を開始するために用いられるが、「トリガー」は政策変更に直結する。見通し次第という点では変わらないが、「トリガー」なら金融市場参加者は政策変更をより明確に見通すことができるだろう。

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