「上野公園には、もうひとつホールが必要だ」

春の上野を一変させた男の次なる野望とは?

――今でもメインのおカネの出し手は鈴木さんですか。

発展するということは、費用も増えるということ。ですから楽にはなっていません。でも、あるところまでいけば、費用の平準化というものができるはず。その段階に至れば、スポンサーが増え続けることによって個人の負担も減るかな、と思っていますが、まだまだです。

クラシック音楽は、西洋が生んだ最も面白い芸術

――25歳以下の若者に対して格安のチケットを用意している点も大きな特徴です。

残念ながら今の若い子ってあまりクラシックを聴きに来ない。年齢確認が必要な特別なチケットを用意すると管理は大変になります。でも、買いやすい価格にすることで若い子に来てもらうことは重要だと思っています。

大体ヨーロッパでもクラシックは白髪ばかりが目立っている。だんだん触れる機会が少なくなってきたのが原因だと思います。日本もそうだけど、クラシック音楽を取り上げるようなテレビ番組がほとんどなくなっちゃった。

とはいえ、クラシック音楽は西洋が生んだ、最も面白い芸術だと思う。これに触れない人生なんてもったいないですよ。若いうちに触れてほしいと思っています。

――東京文化会館だけでなく、上野公園全体に広げていくという試みも、この12年で定着しました。

東京国立博物館をはじめ、博物館・美術館の施設内で小さなコンサートを行うのが、この音楽祭の特徴です。公園内だけではありません。東京国立博物館の館長だった佐藤禎一さんが地元の商店街、観光団体に「一緒にやろうよ」と声をかけて下さったので、上野の街全体に広がりました。今では、開催期間中に街中にピンク色のペナントが飾られますので、桜の季節の風物詩になったと思います。

これはお祭りですから、多くの方に参加してほしいんですよ。スポンサーということでは金額ではなく、たくさんの方が集まってくれることが理想です。今では企業49社に加えて個人会員も約600人います。クラシック音楽にほとんど触れたことがない大企業の経営者が来てくれて「3時間寝ないで夢中になって楽しみました」なんて具合に感動して帰っていくのをみると、嬉しくなっちゃいますよね。

皆さんの評価としては僕の道楽ということになってしまうんだけど、それはもういいから、次のステップに進めていきたい。みんなでやっているんだ、という形になることが理想だと思うんですね。

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