グローバルエリートが参院選を分析してみた ギリシャのエーゲ海からはるばる寄稿

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何も維新できなかった“維新の会”

まず何も維新できなかった “維新の会”だが、国民の期待を一身に受けたのにこの体たらくに陥った橋下氏の責任は重い。従軍慰安婦をめぐる恥知らずな発言を、メディアの誤報だと強弁する様は政治のリーダーに必要な誠実さや正直さの点でも大きな傷がついた。また共同党首・石原氏と長続きしないのは目にみえており、選挙後分裂するのが容易に想像できる政党に誰が真面目な票を入れるだろうか。橋下氏は石原氏と同じく攻撃力と発信力はあるが、石原氏と同じく成熟さと信頼性に乏しい印象を与えている。

なお石原氏に至ってはもはや冗談であり、まともな投票者は相手にしていないと思うが、これ以上維新の会や国、有権者に迷惑をかけるのをおやめになられてはいかがか。

おそらく今日もどこかで元気に“横田めぐみさんは北朝鮮のえらいさんの妾になっている”“中国人には犯罪者のDNAが流れている”などのフィクション作家ならではの虚言で、隣国への憎しみをあおる憎悪ポリティクスを展開しているのだろうが、どれだけアントニオ猪木氏の人気を借りても、石原氏に国政のチャンピオンベルトはやってこない。

一連の極右民族主義的な言動で社会の右傾化の先鋒を担ぎ、オリンピック招致の足をひっぱるだけひっぱったと思うのだが、トルコが今回勝手にこけたので棚ボタ式に東京にオリンピックがくるのが確実な情勢である。間違っても自身の功績などとお考えにならず、ご自身の諸々の痛々しい妄言の数々(ちなみに後継の猪瀬氏も“イスラムは争いごとばかりしている”発言で、同様なのは周知通り)で、ご自身はオリンピック招致活動の大きな弊害だったのだと、お気づきになられた方がよろしいだろう。

今後オリンピックが来れば世界が東京に注目するようになるので、東京や日本が国際的な恥をかかないよう、早急に引退して口を閉じることがご自身に出来る最大の国家貢献なのだと、助言さしあげたい。

負け戦は海江田氏に任せ、ボトムを見て細野氏投入か

さて、結局小沢さんが正しかったのだ、と思わざるをえない混迷ぶりを見せつけた民主党。政権を獲得したあと、政権運営能力が無いことを見越して自民党との連立を画策した小沢氏は、その手法の是非はさておき先見の明があった。国民が一番見たくない党内の権力争いに終始し、小沢を追い落としたと喜んだ矢先に崩壊の憂き目にあってしまったのだ。いま思えば失笑モノだが、あの無罪に終わった西松建設云々の問題とか土地取引記載云々の些末な話って、一体何だったのだろう。

この間見せつけた醜い混迷ぶりに、政策の中身の是非を論争する民主主義から、“政権担当能力があるかどうか”といったより原始的なレベルに選挙の争点を退行させた民主党執行部の罪は重い。

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