日経平均2万円は単なる通過点かもしれない 市場をとりまく「ムード」は一変している
さて、以上のような一変した相場の雰囲気を引っさげて日米首脳会談が開かれた。見方はいろいろあるが筆者に言わせれば、あまりに呆気ない結果だった。
駐留米軍の経費負担増懸念は「米軍を受け入れてくれて、日本国民に感謝」となり、「継続的な為替操作」と言われる恐れのあった日銀の量的緩和策についてはまったく触れられなかった。また、共同声明では、尖閣諸島を含む日本の施政領域すべてが日米安全保障条約の適用対象であることが再確認された。
日本側にとってもそうだが、米国としては30分余の会談では深い議論の時間もなく、共同声明はおおかたすでに出来上がっていたであろう。少なくとも形は全面的に日本との友好関係をアピールするだけの会談だったようだ。すべての相場観をこの会談に集中し、緊迫感を最大にして見守っていた日本の投資家にとっては、拍子抜けこの上ないものだった。
トランプ大統領は日本の投資家にとって天使か悪魔か?
結局、9日のトランプ大統領の発言「2~3週間以内に驚くべき発表をする」で相場が一変した感もあるわけだが、今週の株式相場はどうなるか。
おそらく、日米首脳会談の結果を心配して買いを控えていた向きがどれくらい買って来るか、空売り筋がどれくらい踏んでくるかにかかってくるだろう。いずれにせよ、日経平均は前述の本年の高値抜けから、いよいよ2万円が視野に入ってくるだろう。
上昇を期待していた向きにとっては、前週末のトランプ大統領は、天使のように見えたはずだ。だがまたいつ豹変するかわからない。悪魔のような過激発言を連発し、日本の投資家を翻弄するだろう。トランプ大統領との付き合い方を、その都度市場を通して学ぶ事になる。
筆者にはトランプ大統領が予想以上に強(したた)かのように見える。ドッド・フランク法の見直し等、金融規制の緩和は経済人の支持を集め、インフラ投資の拡大では民主党議員の支持も多い。「トランプ絶対反対」だった地区も活性化する国内情勢を見て「とにかくトランプに任せて見よう」となるところも増えているという。
では、トランプ大統領は日本の投資家にとって、天使かそれとも悪魔なのか?その答えはいずれ出るが、トランプ大統領との付き合いは始まったばかりだ。「アメリカファースト」とは違うものの、安倍晋三政権の、日本の成長を考えた「ジャパンファースト」の軸がブレなければ、筆者は日経平均2万円など単なる通過点だと思っている。
アメリカのQE(量的緩和)政策で進んだおおよそのレンジである1ドル=80円―100円のドル安水準だった2012年―2013年においても、日本企業の剰余金は着実に増え、今や約370兆円(金融は除く)に積み上がっている。マネーストックM3は直近1383兆円で、東証1部の時価総額の約2.4倍とジャブジャブの状態にある。
今週の予定では国内で10~12月期のGDP統計発表(13日)、日興証券、野村証券、大和総研から発表される経済見通し(17日)を見て見たい。海外も米国中心に注目指標は多いものの、概ね堅調な1週間になると思っている。海外ファンドも個別株物色に移っており、特に東証2部、ジャスダック、マザーズの新興市場銘柄が活躍する相場を想定している。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら