日米首脳の蜜月こそが日本経済の「足かせ」だ 米国の戦略目標は、再び「日本封じ込め」へ

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「蜜月」を演出した安倍首相ですが…(写真:UPI/アフロ)
富国と強兵――地政経済学序説』は、その副題にあるように「地政経済学」なる理論を提唱している。複雑怪奇な世界情勢を解読するには、地政学だけでも経済学だけでも足りず、その両者を総合した「地政経済学」が必要だからである。ここでは、日米関係を題材に、地政経済学的分析の一端を示す。

「ビンの蓋」の米国に頼るしかない日本

『富国と強兵 地政経済学序説』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

まず、日米同盟の本質を理解することが出発点となる。

冷戦期における日米同盟とは、国際政治学者のクリストファー・レインが言うように、ソ連とともに日本を封じ込めるための「二重の封じ込め」であった。これが日米同盟の冷厳な現実であることから目をそらしてはならない。その証拠に、1971年、当時の国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、周恩来と会談した際、日米安全保障条約は日本を封じ込めるための「ビンの蓋(ふた)」であると述べたのである。

1980年代初頭、日本や西独の経済的台頭により、米国において、その覇権の後退が強く懸念されるようになると、米国は日本に対し、貿易黒字を削減するよう圧力をかける戦略へと舵を切った。

まず、1983年に日米円・ドル委員会を設置し、大口金利の自由化、外貨の円転換規制の撤廃、外国銀行単独での信託業務進出の承認などを日本に認めさせた。

これにより日本は金融自由化へと踏み出したが、それがバブル経済の萌芽となったのである。さらにバブル経済は金融緩和の長期化によって増幅されたのだが、この金融緩和の長期化もまた米国の圧力によるものだった。

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