看護師志望の学生がデリヘルで働く深刻理由 学業を優先すると、できるバイトは限られる

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「授業が午後からの日は、朝、介護施設に行って昼まで働いて、学校が終わると居酒屋のアルバイトに直行。閉店までのシフトで入っていたんですけど、閉店作業中は時給が出なくて……。一度、店長に抗議したら“バイトのくせに!”ってキレられて、それ以降、深夜手当もつかないわ、時給も上げてもらえないわでイヤになりました。私より後から入ってきて、シフトも少ない大学生のほうが時給が高いんですから、心が折れますよ」

そこで居酒屋を辞め、介護のバイト1本に絞ってはみたものの……。

「それまでデイサービスでしか働いたことがなかったのに、いきなり夜勤を任されるようになったんです。しかも、ひとりで2フロア、計24人の入居者を担当しろと言われて……ビビリました。夜勤手当? もちろん出ません。学生なのに働かせてあげている、勉強させてあげているんだから、というような説明を最初にされたと思います。でも人手がないし、おじいちゃんおばあちゃんが心配だから、シフトに入ってくれと言われたら断れない」

3カ月間、1日も休みナシ

夜勤明けの疲れた身体を引きずっていったん帰宅し、仮眠をとる間もなく専門学校に向かう。授業が始まった途端に寝落ちするものだから、授業の内容についていけなくなるまでに時間はかからなかった。「何のためにバイトしているのかわからない」――3カ月間、1日も休みを取れないまま二足のわらじ生活を続けた後、クルミさんは休学を決め、介護のバイトも辞めた。どうしたら生活と学業を立て直せるのか? 相談した友人に勧められたのが、デリヘルだった。

「最初のお客さんは、小さいオジサン。頭頂部も薄くて、こんな人とはキスもできんわ……って思いました。でも、お店から“初めての女の子やから”ってお願いしてついてもらったお客さんなんで、やさしくリードしてくれました。終わった後も“やってしまった”って気持ちはありましたよ。でも、居酒屋も介護もあんなに働いても1回の出勤で1万円にもならないのに、この2時間足らずのお仕事で1万円が私の手に残ったんです。体力的にもメンタル的にも、今までのバイトのほうがよほどキツかった。これで学校に戻れる、と思えば迷いも吹き飛びました」

介護の仕事では老人たちから、居酒屋の仕事では常連客からの評判がよく、もともと人当たりがいいクルミさんだけに、早々に人気が出た。「お客さんを自分の彼氏だと思うんです。そうすると自分も楽しめる」という接客が功を奏し、何人ものリピート客がつき、自分でも「もしかするとこの仕事、向いているのかも」と思えるようになってきた。

コンスタントに月40万円を稼げるようになり、無事に復学も果たした。学業とデリヘル、このペースなら卒業まで続けられる――と手応えを得た矢先のことだった。

「両親に、このアルバイトを知られてしまったんです」

介護や居酒屋のバイトを辞めた後、クルミさんは「工場の軽作業で雇ってもらった」と両親に報告していた。

「実家に帰ったとき、スケジュール帳を見られちゃったんですよね。お客さんの特徴とかプレーの内容をメモっていたので、ごまかしきれない。しかも親は広島中のデリヘルのホームページを片っ端からチェックして、お店まで突き止めてしまったんです。プロフィール写真で顔は出していなかったんですが、親が見れば一目瞭然だったみたい。バイトは辞めた、と親に話しています」

いったんは風俗の仕事から完全に離れることを考えた。親を悲しませたくはない。だが……。

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