日本が「競馬先進国」であるこれだけの理由 国際化が加速する中、世界でトップを争う

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一年を締めくくる有馬記念が終わり、年が明けて1月10日に2016年のJRA賞が発表された。他のスポーツでいうMVPにあたるが、年間でもっとも活躍した競走馬に贈られる賞である「年度代表馬」に選ばれたのは、「GⅠ」を国内で2勝したキタサンブラック。投票総数291票のうち134票を集めた。国内で天皇賞・春とジャパンカップのGⅠを2勝して有馬記念は2着、宝塚記念3着。年間6戦3勝の勝ち星を挙げて、さらに2着も2回、3着1回と1年を通じて主役を務めた。

続いて票を集めた馬はモーリス。海外で華々しく活躍し、香港で行われたGⅠレース2勝を含めて年間でGⅠ3勝を挙げて90票を集めたが惜しくも2年連続の年度代表馬とはならなかった。2015年は6戦全勝。2016年は5戦3勝2着2回。この馬の評価に対しては前年との比較で自然とハードルが上がってしまったかもしれない。有馬記念に勝ったサトノダイヤモンドは菊花賞も制して国内でGⅠを2勝したが投票順では3位となった。

海外で活躍するようになった、日本の競走馬

年度代表馬は筆者も投票権を持っているが、キタサンブラックとモーリスとで悩んだ末に国内の競馬を年間を通じて盛り上げたキタサンブラックに投票した。モーリスのような海外で活躍する馬をどう評価するか。GⅠなら3勝のモーリスがキタサンブラックを上回っている。結果的にモーリスは特別賞を受賞した。競馬が国際化され日本馬が当たり前のように海外で活躍する時代となり、年度代表馬を争うトップクラスの競走馬に対して評価する我々がきちんとした基準を持つことが求められるようになっている。

国際化ということでは昨年はとても大きな変化があった。日本にいながらにして海外競馬の馬券を買えるようになった。凱旋門賞といえば、競馬ファン以外の人でも何かの折に聞いたことがあるだろうか。凱旋門賞は毎年フランスで行われる世界でも有数のレースだ。昨年、この凱旋門賞で初めて海外競馬の馬券が国内で発売された。凱旋門賞の国内での売り上げは約42億円。ネット投票限定の発売で通常の重賞レースと同じくらいの売り上げがあった。

これは、競馬関係者の当初の予測をはるかに上回り、驚異的とすらいえる水準だった。今年はさらに売り上げを伸ばすのか。発売レースも増えるだけに注目されるのは間違いない。ファンが海外の競馬を見るケースも多くなる。海外競馬をどう分析するか。日本馬の活躍をどう評価するか。筆者の所属する福島民報では国内で発売する海外競馬については予想を掲載している。我々競馬記者にとって新しくもうれしい課題が増えた。

日本の競馬は新時代に突入した。モーリスは引退したが、サトノダイヤモンドもキタサンブラックも今年は海外での活躍が期待されている。日本の競馬はレベルが高くなった。いまや世界でも有数の競馬先進国といっていい。筆者は競馬を見始めて40年以上が経つが、本当にそれを体感している。日本の競馬は、現在、どの位置につけているのかというと、すでにトップを争う一角に食い込んでいるのだ。日本の競馬が大きく変わってきた今、あらためて新しいファンに競馬の魅力をどう伝えていけるか。今こそもう一度基本的な面から新たに競馬をじっくりと見つめ直していきたいと考えている。

高橋 利明 福島民報 記者

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たかはし としあき / Toshiaki Takahashi

1965年生まれ。子どもの頃から地元の福島競馬場に通う。1989年に成蹊大学卒業。入社2年目の1990年に念願の福島民報社競馬担当記者へ。1993年から本紙予想を担当。福島テレビ、ラジオ福島の競馬中継にも出演。永遠のアイドルホースはハイセイコー。競馬の現場記者であり続けることが目標。
 

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