日本で限定10台!フェラーリ「J50」の正体 少量生産の特別仕様はすでに完売済み
──10台すべて異なるわけですね。
「そうです。今回発表したのは走行できないクレイモデルです。輸送するために1週間前に積んできましたが、非常に注意深く動かしました。リアルなクルマじゃないから。納車は2017年からで、多くは18年に納車にされます。生産ラインでは作りません。すべてマラネロでハンドメイドします。非常にエキサイトしています。最終デザインの結果がこんなに素晴らしいとは思っていませんでした。これはマイ・ベイビーです。日本に到着したのを見て、本当に10台ポッキリでいいのかと話し合ったほどです(笑)」
デザイン、カタチが技術面と一体化
──顧客との関係を築く上でも素晴らしい戦略ですね。
「その通りです。非常に興味深いと思います」
かつてはカロッツェリアが顧客の注文に応じて一品生産した特別なモデルを「フォーリ・セリエ」と呼んだ。だからこそアウト・オブ・シリーズだったのである。フェラーリは今や自社内でフォーリ・セリエを生み出すに至った。
それにしても、ピニンファリーナやベルトーネ、ミケロッティ、あるいはジウジアーロ率いるイタルデザインと隆盛を極めたイタリアン・カロッツェリアはなぜ衰退してしまったのか? フェラーリのデザイン部門の責任者フラビオ・マンゾーニが共同記者会見で述べた次のような言葉が印象深い。
「大型プロジェクトはエンジニアリングが複雑になっている。仕事の進め方が変わってきている。以前は技術が先にあって、それからデザインしていた。現在はデザイン、カタチが技術面と一体化している」
デザイナーとエンジニアが同時進行的にそれぞれの仕事を進めなければならない。外部のカロッツェリアは参考となるアイディアを提供するだけの存在になっているのだ。フェラーリ J50はマーケティング的にも技術的にも、今後のスーパーカーづくりにおいて示唆に富んだ作品だと位置づけることができるだろう。
(文:今尾直樹)
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