人手不足で疲弊、もう「外食・小売り」は限界だ

バイト時給は過去最高、人件費が業績を圧迫

かつてパート・アルバイトの主力といえば学生や主婦であったが、シニアの採用に活路を見いだす動きも出てきた。リクルートジョブズ・ジョブズリサーチセンターの宇佐川邦子センター長は「シニアは社会経験があり教育コストは高くない。朝のシフトに入りやすいといった利点もある」と言う。

東京都内の店舗数でスーパー業界トップのサミットは2016年12月、定年退職したパートをアルバイトとして再雇用する場合の定年年齢を、75歳まで引き上げた。レジ打ちなど従来の業務を継続するため、研修などの手間も抑制することができる。同業他社からは健康問題を危惧する声も上がるが、健康診断で問題のなかった人が働くことになるという。

人件費の膨張で業績悪化

埼玉県を地盤とするスーパーのヤオコーは、外国人技能実習生の受け入れ拡大で人手不足の緩和を狙う。同社はすでに中国・ベトナム・スリランカから約50人の実習生を採用、2018年度末までに200人に増やす計画だ。

実習生の賃金水準はパートと変わらないものの、受け入れ団体に対して管理料を支払うため、「人件費はパートより高くなる」(川野澄人社長)という。さらに実習生は実習期間が終われば帰国しなければならず、新たに採用すれば再度研修する必要が生じる。受け入れ拡大は苦肉の策ともいえる。

このような人手不足に伴う採用コストの増加や、それを補うための正社員の残業増加などが企業業績を悪化させる状況も目につく。東京・多摩地域を地盤とするいなげやは、2016年度の中間決算(4~9月)において人件費が前年同期に比べ7億円膨張。1978年の上場以来、上期時点で初の赤字となる2.1億円の営業損失に転落した。

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