9位の岐阜聖徳学園大学も、1972年に「聖徳学園岐阜教育大学」として開学した私立の伝統校。教員就職率では国立大も含めた教員養成系学部の中で常にトップクラスだ。1年次から実際の教育現場を体験するクリスタルプランなど、入学直後から実践的な学びを展開していることが特徴である。同大では、大半の卒業生が小学校に加え中学校や高校、幼児教員の免許を同時に取得する。進路の選択肢が広がることが、ランキング上位に入る要因となっている。
前出の国立の教育大や文教大学、岐阜聖徳学園大学は、小学校教員の就職者が多いという共通点がある。対照的に私立の総合大学は、中学校や高校の教科教員が多くなる傾向にある。ベスト10の大学の中で、唯一教員養成学部を持たない8位の日本大学も代表例。学生数が多いこともあり、297人が教員となっている。ただ、同大の文理学部と国際関係学部は、玉川大学の通信教育部と連携することにより、小学校教員の免許取得も可能だ。
小学校教員を養成する総合大学が増加
難関私立大の教員就職者数にも注目しておこう。16位の関西学院大学は、2009年の聖和大学との合併で教育学部を設置した経緯もあり、教員就職者223人中、小学校教員が117人と多い。対照的に、私立大として最古の教育学部を持つ23位の早稲田大学は、教育学部以外から教員になる学生も多く、中学校と高校の教員の割合が高い。これは、同大の教育学部が教員養成とともに、広く実社会の分野で活躍できる人材養成を柱とするため、教員免許の取得を義務付けていないことによる。
24位の立命館大学は、産業社会学部の子ども社会専攻で、小学校教員を養成している。その他の学部でも、所属学部の教職課程の修得を条件に小学校免許を取得できるプログラムがあるため、小学校、中学校、高校の教員就職者数の差が小さい。
最後に、理工系大学ながら教員就職者が118人と多く、58位に入った東京理科大学に触れておこう。同大は伝統的に中学と高校の数学や理科の教員養成に実績がある。特に高校が多く、トップクラスの理工系大学らしく、高い専門性を持った教員を養成している。卒業生の理数系教員のネットワークは強固で、教員を目指して志望する受験生も多いという。
教員就職のハードルが下がっているとはいえ、教職課程で一般的な学部生より多くの科目を学んだうえで、教員採用試験に合格するのは大変なこと。ランキング上位の大学は、様々な支援によって、教員志望の学生の希望に応えている大学といえるだろう。
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