米国の若者が抱える学生ローンの重荷 7月から金利がいきなり2倍、3.4%から6.8%に
雇用・所得環境の回復の遅れも、負担増す一因
ただし、こうした大学進学のメリットも、以前に比べれば輝きを失いつつある。確かに大卒者の失業率が低いとはいえ、相対的に低賃金とされる職種や、パートタイムのような不安定な職場でしか就職先が見つからない、いわゆる「不完全雇用(Underemployment)」の問題が深刻化しているからだ。
2010年に行われたドレクセル大学の調査では、20~24歳の4年制大学卒業者における不完全雇用の割合が39.1%に達している。とりわけ景気後退以降は不完全雇用の増加テンポが強まっているという。
前述した大卒者の賃金も、水準こそいまだ高いものの、伸びは鈍化している。景気後退以前はおおむね前年比2~3%の上昇ペースを保っていたが、2010年以降は1%近傍の伸びにとどまった。もちろん、こうした回復の弱さは大卒者だけに限ったものではないが、学生ローン債務が物価上昇を上回るペースで増加していることを考えると、大学教育への投資妙味は以前に比べて色あせていると言えるだろう。最近では新聞報道などで大卒者の学生ローン返済負担の重さが社会問題として取り上げられることも多くなった。
ローン返済負担の増大は、延滞率の動きからも見て取れる(図)。
景気回復局面に入って住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードローンなどの延滞率が低下傾向にある中、学生ローンの延滞率だけが上昇を続けている。それだけ、返済に困る人が増えているということだ。
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