米国の若者が抱える学生ローンの重荷 7月から金利がいきなり2倍、3.4%から6.8%に

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返済負担の重さが若年層の消費活動にも影響

また、学生ローン返済負担の重さは、すでに若年層の消費活動にも影響を及ぼしつつあるようだ。

ニューヨーク連銀の分析によれば、景気後退以降、学生ローン債務を抱える若者は、そうでない若者に比べて住宅や自動車の購入が少なくなっているという。学生ローン返済負担が重みを増したために、ほかのローンの借り入れ余力が低下し、住宅や自動車を購入することが難しくなっていると考えられる。

前回のコラムで示したように、米国では信用環境の改善が徐々に進んでおり、今後は銀行貸し出しなど金融仲介機能の回復が景気を後押しするとみられる。そうした局面において、本来、若い世代は家庭を持ち、自動車や住宅の購入などを通じて経済成長の担い手となるべき存在だ。

しかし、若者世代が学生ローンの重荷によって信用環境の改善による恩恵を十分に受けることができなければ、景気を後押しする力もそれだけ削がれることになる。進学熱の高まりを背景に拡大を続ける学生ローンだが、当面はその副作用にも注意する必要がありそうだ。

服部 直樹 みずほ総合研究所エコノミスト

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はっとり なおき

2009年神戸大学経済学部卒業後、みずほ総合研究所入社。12年11月よりニューヨーク事務所駐在。米国担当エコノミストとして、雇用動向や個人消費、住宅市場、金融政策などの分析に従事。

 

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