鉄道が登場する映画は今も昔も「名作揃い」だ 寅さんや高倉健主演作…日本映画の名場面
渥美清の出演作に触れたら、やはり「男はつらいよ」を取り上げないわけにはいかない。国民的映画とまで言われた「男はつらいよ」シリーズには、毎作必ずといっていいほど鉄道が登場し、さらに初期のほとんどの作品には蒸気機関車が登場して寅さんと共演?している。
寅さんと鉄道の名シーンでは、第5作の「望郷編」(1970年)が必見だ。当時の小樽築港機関区や、蒸気機関車を追う鉄道ファンの「聖地」とも言われた函館本線の小樽-小沢間でロケされた作品である。D51形蒸気機関車を追って、寅さんの乗ったタクシーとのカーチェイスが繰り広げられる。
山田洋次監督の機関車への思い
この作品はシリーズ中会心の作と山田洋次監督は言う。機関車ファンでもある監督の思いがこの作品に強く表現されたという表れでもあろう。監督は、2011年には蒸気機関車C61形20号機が復活するまでの様子を追ったドキュメンタリー「復活〜山田洋次・SLを撮る〜」を制作。中国大陸で幼少期を過ごした監督は、南満州鉄道の特急列車「あじあ」号を牽引した幻の機関車「パシナ」を追って中国大連ロケを敢行した。
寅さん(山田洋次監督)はまた、地方のローカル線にも目を向けた。印象的な作品が第9作「男はつらいよ・柴又慕情」(1972年)である。
マドンナには我らがアイドル吉永小百合を迎え、金沢、福井ロケを敢行。冒頭では1977年3月19日で廃止された尾小屋鉄道が登場し、沿線の無人駅(金平)で列車を待つ寅さんのもとに、旧式の気動車がやってくる。マドンナ吉永小百合との出会いは、今はえちぜん鉄道として生まれ変わった京福電鉄の小駅である。共に今はなき鉄道の情景を描き、鉄道ファンならずとも興味あるシーンであった。
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