鉄道が登場する映画は今も昔も「名作揃い」だ 寅さんや高倉健主演作…日本映画の名場面

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山田洋次監督が復活までの様子を追ったドキュメンタリーを制作したことでも知られる蒸気機関車C61形20号機

かつて少年たちは、カメラを手にすると身近にある「動くもの」、自動車や鉄道などにまずレンズを向けていた。それが高じて鉄道愛好者に発展してゆく場合も多く、実は私もそのひとりである。映画の歴史もまたしかりで、世界初の映画の一つといわれるのは、「映画の父」といわれるフランスのリュミエール兄弟が手がけた「ラ・シオタ駅への汽車の到着」(1895年)。カメラに向かってくる汽車を見て観客が大騒ぎしたという。

映画の長い歴史の中には鉄道を扱った「鉄道映画」も多い。今回は「鉄道」がメインテーマの日本映画の数々から、現在でもビデオ、DVDなどで鑑賞可能な作品をピックアップして取り上げたい。

懐かしい鉄道の様子が生き生きと

まず1つ目は、1941年に製作された本格的鉄道映画「指導物語」(東宝・熊谷久虎監督)。この映画は太平洋戦争時に戦地に徴用される機関士の短期教育を描いた本格的鉄道映画で、戦時体制下での鉄道省・陸軍省全面協力の「国策映画」ながら、当時の鉄道の情景が克明に描かれている。

ロケは千葉県の佐倉機関区で行われ、当時の新型蒸気機関車C58形同士の競争など、今見ると信じられないような鉄道場面が数多く登場する。戦前の原節子が初々しい姿で登場しているのも興味深く、最近の公開ではそれが大きな話題になった。

戦後の作品では「大いなる旅路」(1960年・東映・関川秀雄監督)が特筆される。この映画は筆者がまた小学生の頃、映画館で見て感涙にむせび、将来は「国鉄職員」に……と憧れた映画でもある。三國連太郎演じる盛岡機関区の機関士の一代記を描いたもので、盛岡近郊で実物の蒸気機関車が総出演してのロケが敢行された。

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