昔ながらのスタイルで参加者に駅弁を配ったのは、同駅などで駅弁販売を行う「桃中軒」の立石正明さんだ。同店は1891(明治24)年に創業し、この日使ったおけ(弁当を入れて首から提げるための箱)は、なんと明治時代末期に作られたという「本物」。実際には新幹線の駅で立ち売りを行ったことはなく、在来線でも38年前に取りやめたものの、今でもちゃんと使える状態で残されているのだ。
東海道新幹線の車窓で「目玉」の風景といえばやっぱり富士山。この日は朝から快晴に恵まれ、地元の立石さんも「今朝は富士山がよく見えていた」というだけに、参加者一同期待が高まる。しかし、ツアー参加者らを乗せた「こだま」が通過する頃には、見事に富士山の中腹から山頂付近にだけ雲が・・・・・・。「心の目で見てください」と栗原さんが言うと、参加者からは笑いが起こっていた。
だが、富士山が美しく見える瞬間もあった。通称「幸せの左富士」と呼ばれる風景だ。新大阪方面へ向かう東海道新幹線で富士山が見えるのは進行方向右側だけと思いがちだが、わずかな時間ではあるものの、実は左側から見える区間が静岡―掛川間に存在する。
タイミングをつかむのが難しく、距離も離れているため冬でもはっきり見られることは少ないという「幸せの左富士」。だが、この日は車窓を熟知した栗原さんのガイドでタイミングは完璧。しかもこの時は雲が消え、冠雪した富士山が美しい全貌を現したのだ。久野さんも「初めて見られました!」と感激。車内のあちこちから「見えてる見えてる!」との声が沸き上がった。
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