新発見連続!「こだま」で過ごす4時間の旅 「車窓」ツアーで見えた沿線風景の秘密

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昔ながらのスタイルで参加者に駅弁を配ったのは、同駅などで駅弁販売を行う「桃中軒」の立石正明さんだ。同店は1891(明治24)年に創業し、この日使ったおけ(弁当を入れて首から提げるための箱)は、なんと明治時代末期に作られたという「本物」。実際には新幹線の駅で立ち売りを行ったことはなく、在来線でも38年前に取りやめたものの、今でもちゃんと使える状態で残されているのだ。

東海道新幹線の車窓で「目玉」の風景といえばやっぱり富士山。この日は朝から快晴に恵まれ、地元の立石さんも「今朝は富士山がよく見えていた」というだけに、参加者一同期待が高まる。しかし、ツアー参加者らを乗せた「こだま」が通過する頃には、見事に富士山の中腹から山頂付近にだけ雲が・・・・・・。「心の目で見てください」と栗原さんが言うと、参加者からは笑いが起こっていた。

ツアーのガイドとしてトークを繰り広げた栗原さん(左)と久野さん(右)(撮影:尾形文繁)

だが、富士山が美しく見える瞬間もあった。通称「幸せの左富士」と呼ばれる風景だ。新大阪方面へ向かう東海道新幹線で富士山が見えるのは進行方向右側だけと思いがちだが、わずかな時間ではあるものの、実は左側から見える区間が静岡―掛川間に存在する。

タイミングをつかむのが難しく、距離も離れているため冬でもはっきり見られることは少ないという「幸せの左富士」。だが、この日は車窓を熟知した栗原さんのガイドでタイミングは完璧。しかもこの時は雲が消え、冠雪した富士山が美しい全貌を現したのだ。久野さんも「初めて見られました!」と感激。車内のあちこちから「見えてる見えてる!」との声が沸き上がった。

ビールの巨大タンク、全部飲むには何年?

約4時間の道中では、車窓から見えるユニークな看板や建物の「中の人」もゲストとして続々登場。知られざるエピソードが多数紹介された。

キリンビール名古屋工場のタンクについて語る同社の山本さん(右)と栗原さん(撮影:尾形文繁)

東海道新幹線をよく利用する人なら、名古屋と岐阜羽島の間で車窓から見える「巨大なビール」の存在に気付いているに違いない。9月25日の記事「新幹線沿い「巨大ビール」が映す美味い仕掛け」で紹介されているキリンビール名古屋工場の巨大タンクだ。

「あの中にビールが実際に入っています」と、同社名古屋工場総務広報担当の山本武司さん。そこで山本さんからこんなクイズが出題された。「毎日350ミリリットル缶1本分を飲んだとして、タンクの中身を全部飲み終えるには何年かかるでしょうか?」記事にある通り、タンクの高さは約23メートル、直径は約8メートルという大きさだ。「1年?」「500年?」とさまざまな声が飛び交うが、答えはいずれも「NO」。いったい何年かかるのだろうか。

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