揺れる「穏健なドイツ」、テロ事件の巨大衝撃

極右派の台頭も懸念される事態に

第2次世界大戦の反省から「穏健で、コンセンサスを主流にする連立政権を維持してきたドイツは、他の欧州の国のようなポピュリスト的な扇情主義には無縁だった」。しかし、今後もテロによる殺害が続くようだと「それも長続きはしないかもしれない」。

テレグラフ紙の欧州エディター、ピーター・フォスター氏は今回のテロ事件がメルケル首相を孤立化させ、極右派がこれを利用すると見る(20日付)。

極右政党「ドイツのための選択肢」とは?

実行犯がシリアなどのイスラム教の国からやってきた難民だった場合、テロは西欧社会に分断をもたらす可能性がある。キリスト教徒対イスラム教徒、欧州人対中東諸国の人々、といった対立だ。

こうした解釈を利用すると見られるのが極右の「ドイツのための選択肢=AfD」だ。反移民、反イスラム教徒、反緊縮財政の政党は2013年に生まれた。きっかけはギリシャを救済するためにドイツ国民の税金が使われることに反対するデモ行動だった。

現在、会員数は2万人。党首は女性で、フラウケ・ペトリー氏。今年、反イスラム教徒を表に出して幾つかの地方選挙で票を獲得。今年9月、ベルリン州(特別市)議会選挙では得票率14.2%、25議席を獲得した。

来年9月の連邦議会選挙では議席を得ると見られ、もしそうなれば、極右系政党が連邦議会で議席を持つのは第2次大戦以来、初となる。

テロ後、ペトリー党首はメルケル首相の移民政策に責任がある、と述べている。「過去1年半、このような行動が頻繁に起こるような環境が、怠惰にそして組織的に輸入されてきた」。

BBCニュースによると、メルケル首相の支持勢力の中にも、移民政策の見直しを求める声がすでに上がっているという。2017年はEU盟主のドイツの右傾化が懸念される1年となりそうだ。

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