自由すぎる!有名哲学者たちの「恋愛と結婚」 「逃げ恥」とは一味違う"契約結婚"をした人も

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ところが、この宣言を覆すような、すばらしい女性が彼の目の前に出現したのです。友人のパウル・レーとともにローマに旅行した時に出会った、知性にみちた美しい女性ルー・サロメです。彼女と哲学について語り合い、彼女が作った詩を彼の得意なピアノで曲にしてあげたり、もうぞっこんの状態。ニーチェの有名な「永遠回帰」の思想の構想を最初に打ち明けたのも、ルーに対してだったのです。

ニーチェはルーを哲学の弟子かつ伴侶と考えはじめました。ところが、ルーにとってニーチェは哲学の先生以上でも以下でもなく、尊敬しているヒゲおやじという程度。ニーチェはルーに求婚しましたが即効で断られたらしく、そのあとのルーと、件の友人レーとの三人で撮影した三位一体という写真のニーチェは、どこか虚しく空を見つめているような感じがします。

恋愛では負け続けだったニーチェ。彼は「結婚なんてバカバカしい。過去の偉大な哲学者はみんな結婚なんてしていなかった!」という負け犬の遠吠えのような言葉を残していますが、こうした経験によるものだったのかもしれません。

どんな逆境であっても運命を愛する

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しかし、ニーチェは、この失恋をバネにして名著『ツァラトゥストラはこう言った』を書きあげたのでした。現実の苦しみをそのまま受け入れながら強い自分を保持し、どんな逆境であっても運命を愛する(運命愛)というもので、「これが人生だったのか。ならばもう一度!」と人生を何度でも肯定するというもの。

この彼の哲学書は、前述のように哲学史を塗り替えるほどの傑作となったわけで、結婚の代わりに得たものは大きかったかもしれません。

このように、歴代の哲学者たちは、自身の哲学に基づいて「契約結婚」を敢行したり、一生独身を貫いたり、失恋をバネに成功を収めたりと、独自の人生を歩みました。

私たちも、理想を貫いて生涯ひとりを謳歌するもよし、結婚という人間関係の中で幸せを模索するもよし、選択は自由です。長くも短い人生の中で、あなたの哲学を追求してみてください。

(構成:山岸美夕紀)

富増 章成 学びエイド鉄人講師

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とます あきなり / Akinari Tomasu

河合塾やその他大手予備校で「日本史」「倫理」を担当。学びエイド鉄人講師。中央大学文学部哲学科卒業後、上智大学神学部に学ぶ。哲学や宗教、歴史などのわかりにくい部分を読者の実感に寄り添った、身近な視点で解きほぐすことで定評がある。『眠れないほどおもしろい哲学の本』 (三笠書房・王様文庫)、『自分を変える思考の道具箱』(青春出版社)、『考える力が身につく ディープな倫理』、『図解でわかる!ニーチェの考え方』(以上、KADOKAWA)、『空想哲学読本―アニメで読み解く、痛快哲学入門』(宝島社文庫)、『オッサンになる人、ならない人』 (PHP研究所)、『哲学の小径』(講談社)、『お厚いのがお好き?』〔哲学監修〕(扶桑社)、『超訳 哲学者図鑑』(かんき出版)など著書多数。

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