自由すぎる!有名哲学者たちの「恋愛と結婚」 「逃げ恥」とは一味違う"契約結婚"をした人も

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結局、サルトルは宣言どおり「偶然の恋」を繰り返し、ボーヴォアールは嫉妬に悩まされつつも、最終的に、2人の関係はサルトルの死まで50年続いたのでした。

そんなサルトルの「契約結婚」の土台にある哲学は、「人間は自分で自分をつくっていく存在だ」という“実存主義”。たとえばナイフなどの物(即自存在)は“切るため”という目的ありきで作られますが、それに対し人間(対自存在)は、まず先に世界に投げ出され、それから自分の本質を創造する、という考え方です。その意味で、人間は限りなく自由な存在であり、その自由を縛ってはいけないというのが、サルトルの考えだったのです。

この考えを支持し賛同してくれた才女・ボーヴォアールと出会えたためにこの「契約結婚」は成立したわけで、この良き理解者との出会いは彼にとって実に幸運だったといえるでしょう。

その結婚ちょっとまった!?悩みすぎて婚約破棄

●キルケゴール
結婚したまえ、そうすれば君は後悔するだろう。
結婚しないでいたまえ、そうすれば君はやはり後悔するだろう。

 

ニーチェとともに実存主義の先駆者とされる、デンマークの思想家キルケゴール。彼は、24歳だった1837年に15歳のレギーネと出会い、この後、2年間にわたって彼女に執拗ともいえる結婚申し込みを繰り返しました。しかし、やっとのことで結婚を承諾してもらったにもかかわらず、なんとキルケゴールは、婚約した翌年に一方的に婚約指輪をレギーネに送り返して関係を絶ったのです!

あんなにしつこく結婚を迫った人が、うまくいったとたんに婚約破棄なんて、落ち着きがなさすぎ。新しい女ができたのか……?なんて疑ってしまいますよね。もちろんレギーネも、何度もキルケゴールに考え直してくれるよう婚約破棄の取り消しを頼みましたが、彼は考えを翻すことなく、結局、2人は別々の道を歩むことになりました。

意味不明なキルケゴールの行動ですが、これは、彼があまりにレギーネを深く愛しすぎたがための決断によるものだったようです。婚約したはいいけれど、本当に彼女を幸せにできるのは自分ではないのでは?と考え込んでしまったのです。

この経験もふまえ、キルケゴールは彼の哲学を築き上げました。すなわち、人とは生きている理不尽さについて悩み、絶望という病にもかかるが、それは人間が動物以上のものである証であるのだから、絶望という病気にかからないほうが不幸だというのです。

とはいえ、この絶望をなんとか対処しなければいけないということで、彼は三段階の発展を提唱しました。

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