出世できる人は「ここぞの日」を知っている チャンスは、準備をしている人がつかむもの

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――人との時間の使い方にも気を遣われていたようですね。佐々木さんは「話の長い人は『時間泥棒』と嫌われる」ともおっしゃっています。

私はどちらかというとせっかちなタイプです。そのせいか時間を無駄にするのが嫌いでね。他人に自分の時間を無駄に使われるのも、非常に腹立たしかったんです。でも、そういうことに無神経な人は結構多いんですよ。

私が営業課長だった頃の思い出ですが、上司である部長が9時ちょっと過ぎにふうふう言いながら出勤してきて、冷たい水を飲もうとしていたんです。そこに隣の課長が近寄ってきて、「部長、ちょっと大事な話がありまして、お時間をください」と。

これは「まずいな」と思いましたね。だって、部長は9時半から重要な会議が控えていたんですから。案の定、部長は「ダメだ、会議が始まる」と断ったんですが、その課長は「実は10時に大手の得意先が来ることになっていて、今後の取引条件の返事をしなくてはならないんです」と泣きついたんですよ。

部長は、そりゃもう不機嫌そうに「3分で話をしろっ」と言ってましたね。怒るのは当然でしょう。そんなに大事な交渉なら、前日には部長の了解を取っておくべきだった。部長にとっても重要な会議が控えていることなど、部長の予定をチェックすれば簡単にわかるんですよ。これもスケジュール管理のミスです。

クセの積み重ねが、出世を左右する

――用意周到とは、そういうところに現われるんですね。

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上司のスケジュールばかりではありません。会社はさまざまなスケジュールで動いています。この時期にはこういう仕事が入ってくる、納品の締め切りはいついつだ、コンペの準備期間はこの発表日から2週間である。こういう予定のわかっている仕事は、1週間の余裕を持って進めておけば慌てないで済んで、それなりにいいものが用意できるんです。できあがったものを数日寝かせて見直すこともできるし、ミスを防ぐこともできる。

スケジュールの確認を怠ると、重要なタイミングを逃しかねません。仕事で失敗をしたくなければ、慌てるシーンをなるべく作らないよう、先手先手を打つことです。

目先の仕事、今月の締め切り、今年の目標、それらをきちんと把握して、必要なタイミングで必要な行動を起こせるようにするために、まずは手帳とカレンダーを見るということを、「仕事のクセ」にすることをおすすめします。

その積み重ねが、出世の階段へとつながっていると思います。

(構成:山田恵子 撮影:後藤利江)

佐々木 常夫 佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役

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ささき つねお

1969年、東京大学経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男を含め3人の子どもを持つ。しばしば問題を起こす長男の世話、加えて肝臓病とうつ病を患った妻を抱え多難な家庭生活。一方、会社では大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建やさまざまな事業改革など多忙を極め、そうした仕事にも全力で取り組む。

2001年、東レ同期トップで取締役となり、03年より東レ経営研究所社長となる。 10年、(株)佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。

何度かの事業改革の実行や3代の社長に仕えた経験から独特の経営観をもち、現在、経営者育成のプログラムの講師などを務める。

著書に『完全版 ビッグツリー』『そうか、君は課長になったのか。』『働く君に贈る25の言葉』(以上、WAVE出版)など多数。

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