第2に、コーポレート・ガバナンスの問題である。りそなの場合、公的資金注入後、初めて外部から経営者が送り込まれた。この新体制で、営業時間の延長や行員の意識改革などの抜本的な改革を進めることができた。
ウニクレディトの場合、経営が厳しくなってからの歴代CEOは全員ウニクレディトでの実務経験者で、銀行の外部から招聘した人物はいない。イタリアの商業銀行は地元とのしがらみも多い。店舗数は、今回1割圧縮してもまだ邦銀大手グループの3倍以上に上る。一段の業務改革のためには、外部人材が大ナタをふるうことが求められる。
政治が不安定では抜本的な処理は難しい
第3に、財政政策の違いである。りそなへの公的資金注入は、小泉純一郎政権が国民からの絶大な支持のもとで構造改革に着手していた頃に行われた。ちょうど景気が上向いてきたのと時を同じくして実施された点は幸運だった。
かたやイタリアでは、12月4日の国民投票否決を経て首相が交代し、今後の議会運営次第では早期の総選挙の可能性も高い。政治的に不安定な中で、景気を支えるような施策を期待するのは極めて難しい。
このように日本の前例と比較すると、今回のウニクレディトの再建策は、まだリスク払拭には不十分と思われる。銀行業の原点は、12世紀の北イタリアの両替商だ。イタリアから多くを学んで日本の銀行制度もでき上がった。しかし、今度は逆に彼らが日本の事例から学ぶべき時かもしれない。
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