30代以上シングルはマンションを買うべきか 家賃と同じ負担なら、買ったほうがおトク?

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この場合、もし2000万円でしか売却できないとすると、どうでしょうか。収入は2000万円、一方で金融機関への残債完済と諸経費で2330万円かかるわけですから、差額330万円ほどの現金が必要になります。このように、買う前から、その心づもりを常にしておくわけです。もちろん環境の変化などもあり、6年経過してみないことには、実際のところは完全にはわからないわけですが、少なくとも漠然と不安に思うことがなくなり、イメージもしやすいはずです。

購入時の自己資金も、毎月の家賃に換算してみる

さて、ここで、残債がなくなる程度で売れたとしても、「購入時に出した自己資金も含めて考えると、持ち出しなのでは?」という見方があります。大家さんに気兼ねしなくても良い自分所有のマンションライフを満喫できた充足感も考慮にいれたいところですが、一理ある考え方ですね。

確かに、売却時に残債が消えたとしても、購入時に使った額は気になります。考え方の一例として、さきほどのモデルケースに沿って、「ローン返済額」「維持管理費などのランニングコスト」だけでなく、購入時に使った「自己資金500万円」も含め、すべて毎月の家賃に見立てて考えて見ましょう。

まず、ローン返済110万+維持管理費40万円=150万円/年ですから、月々の負担は12.5万円ですね。これを家賃として考えます。

次に最初に出した自己資金500万円を考えます。これも家賃に換算します。どう考えればいいでしょうか。6年後に残債と同じ金額で売却できた場合、購入時の自己資金500万円を6年で使ったことと同じですから、1カ月当たりは500万円÷72カ月として、約7万円使ったことになります。これを先ほどの12.5万円に加えると、結局月々19.5万円の賃料を支払っていたのと同じだということです。

毎月19.5万円を払うというのは結構な額になります。当初は「賃貸で払う家賃と同じくらいのローン返済・維持費」と思って購入したとしても、結果的には想定以上の「賃料」を6年間払って住んでいたことになるわけです。

ここまで読んでいただいて「なんだ、せっかくマイホームを買うかどうかを考える時に、値下がりの話ばかりするのか」と感じるかもしれませんが、リスクを具体的な数字で把握し、あらかじめ準備をしておくことで、不安のないマイホームライフを満喫するということも、ひとつの考え方だと思います。そこを押さえたうえで、値上がりするかもしれない楽しみをひそかに持つという方が、精神的にも良いのではないでしょうか。

これはファミリー層のマイホーム購入検討でも同じように使えるのですが、結婚によって売却する可能性があるシングル女性の方は、より意識してみると良いと思います。

北野 琴奈 ファイナンシャルプランナー

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きたの ことな / Kotona Kitano

1974年北海道生まれ。津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型FPとして資産運用、住宅、不動産投資・賃貸経営などに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。会社員の頃、資産運用の大切さを実感しファイナンシャルプランナーCFP®資格を取得(日本FP協会認定 CFP®認定者)。同時に夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外では米国の物件も手掛ける。テレビ・新聞・雑誌等のメディア出演、取材協力多数。著書に『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント』など。ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」(日本ソムリエ協会認定)の資格も持つ。

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