日産「ノート」が急にバカ売れし始めた理由 30年ぶりの快挙を支える新時代のエコカー
「お客さんによっては『これはハイブリッド車の一種です』と説明することもある」。日産の販売店に勤める中堅の営業マンは話す。トヨタのアクアやホンダのフィットなどライバルのコンパクトカーがHVモデルを取りそろえる一方、日産はこのクラスにHVを持っていなかった。
日本の新車市場でHVが人気なのは、単に燃費がいいというだけでなく、環境に優しいというイメージも手伝っている。そういう意味で、日産車を乗り継ぐファンや日産販売店にとって、ノートe-POWERはまさに待ちわびたモデルであり、発売直後からの動きが活発な理由の一つといえる。
「レンタカーの代替えも含まれているだろう」とは業界関係者の見方だが、それを加味しても単月の車名別乗用車新車販売ランキングで30年来の悲願を果たした意味は小さくない。実際に試乗して好印象を抱き、購入に至った人も多いと思われる。インターネットの書き込みにはそういう意見が多数見られるし、横浜市で行われた報道向け試乗会で筆者が乗った印象も予想以上に良かったからだ。
バッテリーの容量も大きい
ノートe-POWERのバッテリー容量は1.5kWhと、アクアの0.936kWh、フィットの0.86kWhと比べるとかなり大きく、モーターの最高出力80kW、最大トルク254Nmも、ライバル2台を明確に上回る。後者は車両重量が200kg以上重い電気自動車「リーフ」と同一であり、自然吸気のガソリンエンジンなら2.5Lに相当する大トルクだ。
おかげで加速はエコモードでもかなり力強く、エンジンとモーターの切り替えや変速などのショックがないので、モーターならではのスムーズさも存分に味わえる。発進停止の動きが自然であることも印象的だった。このあたりはリーフの経験が生きているのだろう。
しかも他のハイブリッド車よりバッテリー容量に余裕があるから、街中を流すぐらいのペースなら、ほとんどモーターだけで走る。流れをリードするような場面ではエンジンが始動するものの、ガソリン車に比べて遮音対策を入念に施したという言葉どおり、音はあまり気にならなかった。
ノートe-POWERの走り味は、ときどきエンジンが回ることを除けば、リーフに似ている。でもリーフと違って、充電の必要はない。エンジンが発電してくれるからだ。電気自動車に興味は持ちつつ、充電環境の面で諦めていた人たちにとっては願ってもないクルマといえるかもしれない。
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