日産「ノート」が急にバカ売れし始めた理由 30年ぶりの快挙を支える新時代のエコカー

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ノートe-POWERについて業界内では「電気自動車と呼ぶのは間違いだ」という声も一部あるものの、海外ではハイブリッドエレクトリックという表現のほうが一般的であり、電気自動車の一種という日産のメッセージも間違いとは言い切れない。

エンジンで発電し、その電力で進む方式は、船舶や鉄道の分野では第2次世界大戦前から一般的であり、ディーゼルエレクトリックなどと呼んでいた。そこにバッテリーを追加して蓄電できるようにしたのでハイブリッドエレクトリックという名称を使っているようだ。プリウスなどのHVとは別の流れがあることは覚えておいて良いだろう。

燃費も話題に

ノートe-POWERでもうひとつ話題になっているのは燃費だ。JC08モード燃費が最高で37.2km/Lと、ひとクラス上のプリウスの最高40.8km/Lには及ばないものの、同じトヨタで同クラスのハイブリッド車「アクア」の37km/Lや、ホンダ「フィットハイブリッド」の36.4km/Lを上回っているのだ。

e-POWERのインパネ

ただしノートe-POWERで37.2km/LをマークしているのはSグレードだけで、e-POWERでは最も安い177万2280円である代わりに、エアコンすら装備されないという、21世紀の日本車とは思えない簡素な仕様になっている。燃費については現在の乗用車として常識的な装備を備え、売れ筋であるXグレードの34km/を基準に考えたほうがいいだろう。

こうした手法を批判する人もいるようだが、燃費ではなく価格に話を移せば、似たような例はある。たとえばノートと価格面で近いフォルクスワーゲン「up!(アップ)」の最低価格はmove up!2ドアの154万8000円だが、このグレードは受注生産で、半年ぐらい待たされるという噂もある。量産車という感覚で買えるのは、move up!4ドアの175万6000円より上となるだろう。

e-POWERのバッジ

そもそもモード燃費の37.2km/Lが34km/Lになったとしても、さしたる差ではないと考えるユーザーが多いのではないか。三菱自動車工業の燃費不正問題で明らかになったように、メーカー側は少しでも良い燃費を出そうと努力しているが、実際は燃費が良い車種から順に売れているわけではない。買う側は100万円以上の高額商品なのだから、総合的に判断すれば良い。

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