慶應幼稚舎男との格差婚は外部女子の願望だ 東京カレンダー「慶應内格差」<8>
ただならぬ様子。今日はもう遅いので、明日の仕事終わりに家に来てもらうことにした。
狙え、格差婚!
「圭ちゃん、あのね、私妊娠したみたいなの…」
圭一郎の頭の中は真っ白になった。
いつだろうか?もちろん由佳とはそういう関係を持っていたが、避妊にはちゃんと気をつけていた。
由佳は今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。早く笑顔で喜ぶ姿を見せなければ。ただそれ以上にいろんな思惑が頭をめぐる。
「おカネ目当て」
母の言った言葉を思い出す。まさか、由佳は最初からそのつもりで?本当に俺の子なのか?
この後に及んで由佳にそんな疑いの目を向けている自分は醜い。もう覚悟をするしかない。そう思い圭一郎は由佳を見つめた。
「由佳、ありがとう。結婚しよう」
母にはどう伝えようか。由佳が相手で、しかもできちゃった結婚だなんて、勘当されてもおかしくない。
ただ、インドネシアに1人で行く必要はなくなった。その寂しさを紛らわすには丁度いい。
「ねぇねぇ栞、知ってる?圭一郎くん結婚するって」
今日は早紀子と虎ノ門ヒルズにある『アンダーズ タヴァン』にて定例のランチ会。景色が良く見える窓際の席に着いた途端、早希子が口を開いた。
「え!知らない!!!誰と?」
「由佳っていう圭一郎の会社の子。一般職。確か長野出身で大学からの外部生」
「なんでそんな子と圭ちゃんが結婚するの?あのお母様が許すわけないじゃない」
「それがね、できちゃったって話!」
「え?」
「まさに狙われたんでしょ」
「そんな……圭ちゃんかわいそう」
妊娠は結婚への1番手っ取り早い方法だ。しかし、同時に自分のキャリアも捨てることになる。そこまで欲しいなら、圭一郎のこと、最初からあげたのに。栞は思った。
外部生の由佳にとって、幼稚舎生の圭一郎は格上の人間。誰がどう見ても不釣り合いの2人。
「格差婚」のニュースはすぐに広まった。
格下の人間が這い上がるには、なりふり構っていられない。持ちうる全てを投げ打つのだ。
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