初任給は一般的にどの会社も示しているが、その後の給与水準は外部に公開しないケースが多い。だが、順調に金額が増加していくかを知るためには、「大卒30歳平均賃金」のような一定年数後の情報が必要となる。
特に30歳は、大卒入社で8年、大学院(修士)修了で6年程度の勤務経験となる。仕事にも慣れ、職場の若きリーダーとして活躍し始める、大切な時期だ。中には家庭を持つ人も出てくる。徐々に定期的な支出も増え、それなりの収入は必要になってくる。事前にこの時点の賃金を知ることができれば、将来の生活もイメージしやすい。
1位は大和証券グループ本社
では、ランキングを見ていこう。1位は大和証券グループ本社の54万1440円。2位ディー・エヌ・エー53万5000円、3位SMBC日興証券51万0526円、4位伊藤忠商事50万1215円の4社が、いずれも50万円を超えている。
以下、5位野村総合研究所(48万8017円)、6位長瀬産業(48万3372円)、7位双日(46万9800円)、8位商船三井(46万8076円)、9位住友商事(46万円)、10位三菱商事(45万6352円)と続く。総合商社など歴史の長い会社が目立つ中で、ディー・エヌ・エーが上位に入った。
このように開示義務のない賃金データをCSR情報として公開する会社は、「従業員の生活を気にしている」と考えてよい。金額にかかわらず開示すること自体が「優れた会社(東洋経済では『信頼される会社』と呼ぶ)」の評価ポイントとなる。
CSRでは、会社を取り巻く関係者(「ステークホルダー」という)を意識して企業活動を行い、情報を開示することが大切とされる。有力なステークホルダーである、従業員と将来の従業員(大学生や中途採用候補者など)を気にかける会社は、他の面でも「信頼性が高い」ことが多い。
今回金額の開示があった会社は626社だ。全体の平均金額は30万0041円だった。われわれはCSR等の評価項目として、「大卒30歳平均賃金30万円以上」を、比較的待遇のよい優良企業の目安と考えている。それは開示企業の平均値がほぼこのあたりになるからだ。
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