注意!あなたも盗撮されているかもしれない 非接触犯罪(盗撮、のぞき、下着窃盗)が増加中

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「強姦も痴漢も、すべての性犯罪は相手を支配したいという欲求が根っこにあり、それは性欲よりはるかに強い内発的な動機となります。そして、強いストレスを抱えた状態で、自分より弱い者を支配し、いじめるとスッキリする快感を知り、それを繰り返すうちに常習化していきます。これは非接触型でも言えることで、盗撮は相手にバレないよう日記を盗み見る感覚だと経験者は言います。自分でも知らない彼女の一面を、俺は全部知っている――これが非日常的な快感や達成感となるのです。下着窃盗であれば、相手の身に着けているモノ、しかも本来は人目に触れない非常にプライベートなモノを入手することで相手を擬似的に支配し、それを所有し続けることで相手とつながっている感覚を得ています」

彼らはスカートの中の画像が必ずしも欲しいわけではなく、撮った画像や映像はしばらくすると消去するケースもある。つまり、行為を達成するプロセス自体にハマっているのだ。もちろん画像を保存している場合もあるが、それによって被害者とつながっている感覚を確認するためだと彼らは言う。下着窃盗は、盗んだ下着を身に着けてマスターベーションをするケースも多いものの、中には何枚もコレクションすることで自らの所有欲を満たす人も存在する。

「実は彼らも、できることなら女性とリアルな恋愛、セックスがしたいと思っています。でもそのために行動するスキルや勇気がなく、嫌われるんじゃないかという気持ちが先行する。そして、替わりとなる性的逸脱行動で自分は満足していると思い込む。これを“すり替え充足”といいますが、依存症のひとつの特徴です。一方で、一度やれば満足する、つまりこれを最後にしようと思って始めた性的逸脱行動が次の行動への渇望の引き金になる場合も多く、これを“充足パラドックス”と言います。このような特徴をみると、非接触型の性犯罪のほうが、接触型と比べて嗜癖行動としての側面が強いのかもしれません」

背景にいくら不幸な事情があったとしても、その行為はとうてい許されるものではない。しかし、非接触型の性犯罪は接触型と比べて社会的な制裁が軽い。罪状を見ると、“性犯罪”ですらない。盗撮やのぞきなら迷惑防止条例等違反、下着窃盗は文字どおり窃盗罪として罰せられる。

「それでも、女性の性を脅かしているのですから、性犯罪と言えます。トイレや更衣室にカメラを仕掛けるタイプの盗撮では、不特定多数の女性がその自覚もないまま被害に遭います。下着窃盗であれば、最初はベランダに干された洗濯物から盗んでいたのが、やがて室内に侵入して下着を物色し、そこでマスターベーションをするようになったケースもありました。また、住人である女性と室内で出くわしてそのまま強姦に発展するといったように、より深刻な加害にエスカレートする例もあります。社会も女性に接触していない性犯罪だからといって軽視せず、厳重に注意喚起や取り締まりをすべき問題だと思います」

「強姦や痴漢と比べると、自分たちはマシ」

性犯罪者はその罪状やリスク査定の結果に応じて、刑務所内で「性犯罪者処遇プログラム(R3)」を受講する。しかし、非接触型の場合は罪名が性犯罪ではないため、その対象とはならないケースが多い。

「非接触型の性犯罪者は“強姦や痴漢と比べると、自分たちはマシ”“あそこまで悪いことはしていない”という意識を持つ傾向があるので、彼らを同じプログラムに入れると、ほかの参加者と自分とを差別化することで認知の歪みを逆強化してしまう可能性もあります。本来はその対象者のリスクに応じてプログラムの密度や期間、介入方法を決める必要がありますが、現在の日本ではそれが行われていません。しかし、彼らは先ほどお話したとおり問題行動を反復する傾向があるため、再犯防止プログラムや治療の対象であることは明らかです。刑務所内でそれができないのなら、社会でやるしかありません」

三浦 ゆえ フリー編集&ライター

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みうら ゆえ / Yue Miura

富山県出身。複数の出版社を経て2009年フリーに。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行う。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズや『失職女子』などの編集協力を担当。著書に『セックスペディア-平成女子性欲事典-』がある。

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