注意!あなたも盗撮されているかもしれない 非接触犯罪(盗撮、のぞき、下着窃盗)が増加中

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「日本は、非接触型性犯罪大国です」

と話すのは、斉藤章佳氏。精神保健福祉士、社会福祉士として東京・榎本クリニックで国内で初めて性犯罪者の再犯防止プログラムを実施している。その目的は、同じ過ちを二度と繰り返さないよう彼らに再犯リスクへの対処スキルを学ばせ、それを生活の中で実践し繰り返しトレーニングすること、ひいては社会における性犯罪自体の発生件数を減らすことにある。受講者の中には、非接触型の性犯罪者も含まれる。

「たとえば米国では性犯罪といえば強姦であって、非接触型の事件もないわけではありませんが、日本と比べると少数派の性犯罪といえます。対して日本では盗撮、下着窃盗、のぞきがほかの国より格段に多く、しかも増加しています。特に最近、当院では大学生など若い世代の盗撮に関する相談が増えています」

ショッピングモールや駅の上りエスカレーターで女性の背後に立ち、スカートの下にそっとスマートフォンを差し入れて撮影する。女性や周囲の人に気づかれ、通報、逮捕され、その結果、春に就職するはずだった会社から内定が取り消され、大学も停学または退学処分となり、なんとかやり直したいと考えクリニックの門をたたく――これがひとつの典型だという。若い男性にいったい何が起きているのだろう。

カメラ付きスマホの普及が理由のひとつ

「まずはカメラ付きスマートフォンの普及が、理由として考えられます。エスカレーターでいきなりカメラを手にしたら周囲も警戒するでしょうが、スマホを持っていても誰も不審には思いません。また無音のカメラアプリなるものもあり、その行為は極めて巧妙化しています。加えて、私たちは若者の恋愛離れに注目しています。臨床の場では、男女交際やマスターベーション、性交経験などひととおりの遍歴を彼らからヒアリングします。その結果、非接触型の性犯罪者は接触型に比べ、性交渉歴が一度もない人が多いことがわかりました。自分に自信がなく、コミュニケーションや対人関係を苦手とした人が多いともいえます」

国立社会保障・人口問題研究所の「2015年出生動向基本調査」によると、性交経験のない若者は増加傾向にある。18~19歳では72.8%、20~24歳では47%の未婚男性がいわゆる“童貞”で、いずれも2010年の前回調査より5ポイント以上アップしている。性交経験がない=交際経験がないとはならないが、「交際相手を持たない未婚者」「交際を望んでいない未婚者」の割合も男女とも、全年代にわたって増えている。

「性犯罪とはいえ、他人と物理的、精神的に接するとなると、どうしても心理的な葛藤や対立が相手との間に生まれます。それを避けつつ、かつ自分の欲求を満たせるのが盗撮であり、下着窃盗やのぞきであるというわけです」

彼女がいなくても、性交経験がなくても、ほとんどの男性は性犯罪には走らない。しかし、その状況が歪んだ認知や欲求と結び付いたとき、最初の問題行動への道が開いてしまう人がいる。その認知や欲求とはいったい何なのか。

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