「あまちゃん」大ヒットで注目増す大人計画 役者の売り込みに尽力した長坂まき子社長に聞く(上)

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早くから役者の売り込みに力入れる

長坂まき子(ながさか・まきこ) 1964年東京生まれ。武蔵野美術大学卒、91年から大人計画へ。95年の有限会社化を期に大人計画社長、現職。著書に「大人計画社長日記」、「産んじゃえば?」。(撮影:今井康一)

――マネジメント業務は外の事務所に任すような劇団も多いが、大人計画は早くから役者の売り込みに力を入れ、今や数多くの俳優が、さまざまなドラマや映画に出演を果たすようになっています。

(マネジメントもやるかは)やりたいか、やりたくないかじゃないでしょうか。劇団の主宰者の方の考え方、制作とかスタッフの方の考え方もあるでしょう。

私が大人計画にかかわったのが1991年で、営業を始めたのが92年。半年後くらいでしょうか。当時は大人計画もいっぱい公演をやっていた時期。それでも公演をやってない期間はあり、その空いている時期に何か仕事があればいいな、と思ったのがきっかけです。もちろん営業し始めて、すぐにお仕事をいただけるとは思っていなかった。ただ、大きな役はもちろん望めなかったのですが、せりふはいただきたい。せりふなしは避けたいなというのはありました。

1993年頃から、せりふは少ないながら、ぽつぽつとドラマの役を獲得できるようになり、97年放送の「踊る大捜査線」(フジテレビ)では阿部サダヲの売り込みに成功。お台場に何度も通い、台本を読み続けた末の第9話、「湾岸署大パニック 刑事青島危機一髪」でのゲスト出演だったが、犯人役として強烈な印象を残した。
小劇場の劇団の役者というと、東京・下北沢の駅前劇場クラスに進出した中堅劇団でも十分なギャラがもらえず、収入は飲食店などのアルバイト収入に頼るケースが依然として多い。そうなると、30代を超えて引退を決意する者も多く、劇団自体も10年目辺りで解散してしまうケースがある。人気化した劇団でも、役者がテレビドラマや映画への出演が忙しくなると退団してしまいがちだ。大人計画の場合は、テレビや映画で仕事をつくり、さらに知名度を上げた役者が多く出演する劇団の本公演も集客がアップする好循環が生まれ、劇団運営は安定した。
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