ラジオの衰退に抗う「スマホ聴取」の可能性 聞き直しや地域またぎで再発見される価値

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そもそもラジオのネット同時配信は、高層ビルや家庭内の電子機器類の増加、地下街などの遮蔽空間やビル陰など、主に都市部で発生していたラジオ放送の受信が困難な地域(難聴取地域)の問題を解消するため、2011年にスタートさせたという背景がある。

10~20代の間では生まれた頃から家にラジオ受信機がなかったという人も珍しくない。「若い人の間ではラジオの存在がどんどん遠くなる」(入江氏)とラジオ各局は危機感を募らせていたことも、当時ネット同時配信着手を後押しした。

スマートフォンの急激な普及が追い風に

ネット同時配信をスタートさせた頃は主にPCでの受信を想定したものだったが、スマートフォンの急激な普及が追い風となり、「ラジコアプリをいれたスマホ、つまりラジオ受信機を毎日携帯してもらえる環境となった」と入江社長は語る。2016年にニールセンが調査したところによると、月に2回以上利用するアプリの数は22個だという。「ラジコもその中に入りこんでいかなければならない」とradikoの青木氏は意気込む。

スマホの普及を背景にしたインターネットラジオの可能性をにらみ、楽天も7月に「楽天FM」と呼ぶ新サービスで参入した。TBSラジオは「ポッドキャスト」サービスを今年6月に終了し、新サービス「ラジオクラウド」に移行。TBSラジオはスマホアプリの特性を生かし、ポッドキャストにはできなかった広告ビジネスを進めているようだ。

週刊東洋経済は11月14日発売号で『そのメディアにおカネを払いますか?』を特集。有料メディアの攻防や増殖する広告メディアなど、新聞、テレビ、ネットメディアの最前線を追っている。

ラジオと同じ放送の枠組みで考えると、テレビ広告は2000年のピーク時から1割程度しか減少しておらず、いまだ1兆8000億円規模を維持している。だが、20代の一人暮らしではテレビが家にないということも少なくはない。10年後、20年後の未来、テレビだけで若い人々に番組を見てもらえるのか、業界内では不安視する声もある。

民放キー局でIT・ネットビジネス責任者を務めた経験を持つワイズ・メディアの塚本幹夫代表取締役は、「現状、放送網というインフラはネットと比べると明らかな優位性がある。放送は安定的に受信でき映像が遅れずに視聴者に届くが、ネットは安定性に欠け、しかも20秒ほどの遅れがでる。とはいえ、テレビの視聴者が減り続ける状況の中で、放送インフラを守るだけでは先細りするだけだ。今後はその殻を破る必要がある」と語る。

ラジオをモデルに、テレビも全番組をネット同時配信する日はそれほど遠い未来ではないかもしれない。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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