ラジオの衰退に抗う「スマホ聴取」の可能性 聞き直しや地域またぎで再発見される価値

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スマホの数だけラジオ端末が普及しているという見方もできます(写真:ABC / PIXTA)

1991年の広告収入2406億円をピークに直近は半分程度まで落ち込んだラジオ。衰退の一途をたどってきたかに見えたメディアに、一筋の光明が差している。

「新しいステージに立ったラジオと、8年半ぶりにアルバムを発売した宇多田ヒカルさんの思いが一致した」

ラジコに加わった新機能は

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TBSラジオ社長で日本民間放送連盟ラジオ委員長の入江清彦氏は言う。10月中旬、全国の民放ラジオ101局は、宇多田ヒカルの特別番組を放送した。ラジオの「新しいステージ」とはインターネット上でラジオ番組が聴ける「radiko.jp」(ラジコ)に10月11日、加わった新機能を指す。過去1週間の番組を好きなときに聞き直せる「タイムフリー聴取」と、SNSを通じて気に入ったラジオ番組を友人とシェアできる「シェアラジオ」サービスが始まったことだ。

ラジコは現在、利用者が今いる放送エリア内の番組だけ聞ける無料サービスの月間利用者数を約1200万人抱え、そのうち、約7割がスマホアプリで聴いている。2014年にサービスを開始した全国の番組が聴き放題となる月額350円の有料会員は30万人を超えた。

そのラジコに加わった「タイムフリー聴取」という新たな価値。スタートまでの道のりは長かった。技術的には約1年前にタイムフリー視聴ができる状況が整っていたが、「AWA」や「LINE MUSIC」などレコード会社も出資する有料の音楽配信サービスがちょうど開始されたタイミングだった。

無料で音楽が聴けるラジコは、それらのサービスを脅かす競合となるのではないかとの著作権利者の懸念を払拭するため、1年間かけて日本レコード協会など権利者団体を回り、「ラジオの新サービスは音楽業界にとってもマイナスではなく、新しいファン獲得につながるプラスのサービス」(民放連シェアラジオ部会長でFM802社長の栗花落光氏)だと丁寧に説明を続けた。

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