デキない人はPDCAの奥深さに達していない 6つの誤解を解けば誰にも強力な味方になる

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また、前項でも少し触れた話だが、PDCAには大きなものから小さなものまで、「階層」があると捉えられるようになると、とんでもない成果に到達することにつながる。

PDCAサイクルと聞いて想像する、丸く表現された一般的なPDCAのイメージだけを見ると、PDCAサイクルはあたかもプロジェクトベースでひとつだけ回っているような印象を受ける。これもありがちな勘違いであり、PDCAがわかりにくい原因でもある。

大小さまざまなPDCA

実際には、大目標へ向かうためのPDCA、そしてその中の課題をさらにクリアしていくためのPDCA、そしてさらにそれを分解したPDCA……と、本質的にはPDCAはさながら仏教での「マンダラ」のようなイメージで回っていく。

私は上位で回っているものから大PDCA、中PDCA、小PDCAと呼んでいる。相対的なものなので、どの規模から「大」なのかといったことは気にしなくていい。

たとえばある若いビジネスパーソンが「5年以内に年収1000万円以上稼ぐ」とゴールを設定したとする。現状は大企業の営業職で年収500万円。そのギャップを埋めるためにはさまざまなルートが見えてくる。

『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ひとつは、今の会社で営業スキルを徹底的に磨き、圧倒的な営業成績を挙げ、その実績を引っさげて完全歩合制の企業に転職することかもしれない。または英語を必死に勉強してMBAへ進み、外資のコンサルティング会社に入ることかもしれない。

それぞれのルートを検討してみると、さらに細かい計画が必要であることがわかる。

仮に営業職として結果を残すルートを選んだら、「年収1000万円」という大PDCAの下に「営業スキルを磨く」「年間売上高10億円」といった中PDCAが回ることになるわけだ。それに「営業スキルを磨く」といっても、コミュニケーション力を磨くのか、提案力を磨くのかといった個別の課題(小PDCA)に分解されていくし、コミュニケーションといっても役員クラスとの話題についていくための情報収集の話なのか、仕草や表情の話なのか、交渉力なのか、傾聴力なのかとさらに分かれる(小小PDCA)。

最初に掲げた大PDCAのゴールがいかに壮大であっても、それらを小さなPDCAに分解できる。これらを回すことで、加速度的に目標に近づくことができるのだ。

冨田 和成 ZUU代表取締役

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とみた かずまさ / Kazumasa Tomita

神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォーム運営、月間訪問者数は650万人を超える。金融機関や不動産業界のフィンテック化の推進支援や企業に対して鬼速PDCAシステムを導入する鬼速PDCAエンジニアリング事業を展開。監査法人トーマツ主催「日本テクノロジー Fast50」にて2年連続上位受賞(2016年度日本1位・アジア太平洋地域8位、2017年度日本3位)。2018年6月、設立約5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(クロスメディア・パブリッシング)、『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』(ダイヤモンド社)、『稼ぐ人が実践しているお金のPDCA』(KADOKAWA)など。
ZUUonline:https://zuuonline.com
DAILYANDS:https://daily-ands.jp/

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