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異次元緩和から3カ月,インフレ期待は上昇したか 市場動向を読む(債券・金利)

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  • 石井 純 三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ債券ストラテジスト
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もっとも、BEIはこのところ『上昇が一服している』(黒田日銀総裁)。新型物価連動国債の年度内発行が決まり、現・物価連動国債の取引ニーズが減退していることが主因と見られるが、いわゆる「5・23ショック」後の急速な円高・株安が影響している可能性もありそうだ。

QUICK月次調査<債券>のコア消費者物価指数の上昇率予想も、単に消費増税の影響を織り込んでいるにすぎないのかもしれない。予想の平均値ではなく中央値を見てみると、「今後2年間」が今年に入り0.5%で横ばいに転じているし、「今後10年間」は11年から1.0%で泰然自若と推移している。

長期金利急反騰は期待インフレ率上昇の結果ではない

このように、黒田日銀のマネタリーベース倍増計画がインフレ期待を喚起しているという確証は、いまだ得られない。

ましてや、仮にインフレ期待が胎動し始めているとしても、それが『物価動向にどのように織り込まれていくかは、理論的にも実証的にもかなり難しい』(黒田総裁)。現在0%近傍の消費者物価の上昇率を、マネタリーベース・コントロールによる「期待頼み」で2年後に2%まで引き上げるという目標は、やはり相当に高いハードルである。

こうしてみると、大胆緩和決定後の長期金利の急反騰は、期待インフレ率の上昇による「良い上昇」だった可能性は低いと言える。であれば、それはいったん急縮小したリスクプレミアムが急拡大に転じたことによる、一種の「悪い上昇」だったことになる。インフレ期待に働きかけるという異次元の大胆緩和は、今後とも債券市場の期待形成を撹乱し、長期金利の振れを大きくしてしまうかもしれない。インフレ期待の的確な把握が、より重要度を増しそうだ。

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