テレビ局の敵か味方か、ガラポンTVの衝撃 過去90日の全番組、スマホでいつでもどこでも

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――それでもやはり、テレビ局からは敬遠されています。いつでもどこでも好きな番組だけ見られる視聴スタイルは、番組編成に重点を置いて、テレビの視聴を習慣づけようとするテレビ局の意図に反しているからでしょうか。

そうなんです。家電を紹介するようなテレビ番組で取り上げたいからと取材を受けることもありますが、どういうわけかテレビでの放送に結び付いたことはありません。通販番組でもガラポンTVを取り上げるのは難しいと言われます。

声を大にして言いたいんですが、私たちは既存のテレビビジネスの生態系を壊すつもりはなく、ワンセグテレビ番組視聴市場を新たに創出し、そこで得た収益をなんらかの形でテレビ業界に還元し、活性化と発展につなげたいと考えています。テレビ画面を奪い合うのではなく、インターネットに流れている一部の人をテレビの前に戻す。スマホを活用し、テレビが見られてない時間や場所でテレビ番組を見せる機器が、ガラポンTVなんです。

ブラジルへの展開も

――今後の展開は?

通信事業者向けにハードウエアやソフトウエアサービスを提供し、通信事業者ブランドのガラポンTV端末を、スマホ利用者に月額数百円程度でレンタルする、などのサービス展開が可能だと考えています。利用者が増えれば視聴ログデータから、モバイルでの番組視聴行動の分析調査が可能になります。旅行番組を好んで見る人、ゴルフ番組の視聴が多い人など、趣味嗜好に合わせてターゲットを絞った新しい広告手法の開発も可能です。

ガラポンTVのサービス画面

また、日本で事業が軌道に乗れば、海外展開も視野に入れています。地上デジタル放送は日本、米国、欧州の3方式が世界標準となっていますが、日本方式だけがモバイル端末でテレビが見られる技術を確立している状況です。ブラジルは日本以外で初めて日本方式を採用しています。

そこで、まずはブラジルでガラポンTVを普及させたいと考えています。ブラジルでは、日本のように番組の放送時間が厳格に定まってはいません。ニュースがなければ報道番組がなくなりほかの番組が放送されるなど放送枠が柔軟なためか、録画機が日本ほど普及していません。全部録画して見たい番組を抽出して見るガラポンTVで、ブラジルのテレビ視聴スタイルにも革命を起こしたいと考えています。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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