子どもが体調不良なのに出勤強制は合法? 上司の嫌がらせをストップする方法

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2017年1月1日から施行される改正法により、子の看護休暇に関する上司や同僚からの嫌がらせを防止する措置を講ずることも事業主に義務付けました。

改正前においても、病院は、労働契約上、子の看護休暇の申出を理由とする師長の嫌がらせ行為を防止する義務を負っていると考えられます。

仮に、相談者の子どもが既に小学校に就学している場合でも、相談者は、年次有給休暇の取得を申請することが可能です。

労働基準法により、労働者は、年休を取得する日を自由に決める権利を認められています。

そのため、本件の場合も、病院は、事業の正常な運営を妨げるような事由がない限り、相談者の年休の取得を拒否することはできません。もちろん、嫌がらせを目的とする拒否は認められません。

「パワハラ」にあたるのか?

師長の相談者に対する嫌がらせが、頻繁に侮辱的な言葉を発する等、通常の注意や指導の域を超える場合は、違法なパワハラに当たります。

使用者(病院側)は、労働契約に基づき、労働者に対して、職場において働きやすい環境を保つよう配慮する義務を負っています。

このことから、本件においても、相談者は、病院に対して、師長の嫌がらせを止めさせるように求めることができます。

ただ、嫌がらせが口頭でなされていた場合、病院側が事実を認めないおそれがあるので、嫌がらせの内容と発生日を記録し、嫌がらせを受けた時の状況を録音する等により証拠を確保しておくとよいでしょう。

喜田 康之(きだ やすゆき)弁護士
千葉県弁護士会所属。主に不当解雇や時間外手当請求等の労働事件、離婚・相続等の家事事件、建築事件、刑事事件等を取り扱う
事務所名:総武法律事務所

 

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