定年後の「起業」、背中を押すのは妻の役目だ 会社勤めの50代から独立を準備するには?
定年とは「夫婦が親しんだ生活習慣が崩れる」こと
「定年」というのは、サラリーマンにとって本当に一大事だと思う。大学を卒業後、同じ会社にずっと勤めていたとすれば約40年もその会社にいたことになる。私の夫(大江英樹氏、野村證券で個人資産運用業務などに携わり、60歳で会社を設立。現在は経済コラムニストとして幅広く活躍中)もそうだった。
転勤があったり、異動があったり、昇格して立場が変わったりと変化はあったと思うが、それでも同じ会社にいたとすれば、その組織の中でのモノの考え方がしみ付いている。一方で、会社という「戦場」での戦い方も、ある意味慣れたもので、勝手がわかっている。
高年齢者雇用安定法の施行によって、会社はシニア社員として嘱託雇用するなど65歳まで働き続けられる選択肢を提示してくれる。正社員のままという会社もあるが多くの場合、立場が変わり、収入は大幅に減ることになり、先日までの部下を上司と仰ぐことになるかもしれない。さて、どうするか?
妻の側からは「元気なんだし、収入面も考えると働いてほしい」という声があがる。加えて専業主婦であれば、ご主人が働いている日中の時間にのみ、習い事や趣味、お友達と食事も集中させ、ご主人がいる時間はずっと家にいるという暮らしをしている方が大半だ。
そんな方々から深刻に聞かされるのは「毎日ずっと家にいられても困る」いう声だ。そこには、自分が構築してきた「楽しい世界」が、これから制約されて維持しにくくなるのではないか、という不安や不満が含まれている。
夫婦いずれの側も慣れ親しんだ世界から引っ剥がされるのが「定年」である。
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